長寿世界一「香港」を支える“大きな薬”と“生き甲斐探し” 現地レポ

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「大きな薬」で病気退散

 お茶も欠かさない。

「20年以上、朝昼晩と飲んでいるのは、龍井(ロンジン)茶と、味が好きな菊花(コッファー)茶を混ぜたお茶。菊花茶は普洱(プーアール)茶と混ぜるのが普通だけれど、私はこちらの味が好きなので」

 龍井茶には抗酸化作用があり、菊花茶は肝臓に良いとされている。夫にも健康法を聞いたところ、椅子の後ろからおもむろに金色の長い棒を取り出した。

「毎晩欠かさず、この棒を持ち上げています」

 両手で掴むと、バンザイの格好で頭上に持ち上げ、下ろす動作を繰り返す。あまりに軽々こなすのでお借りすると、ずしりと重い。

「3キロあるんだ。これを夕食の後、寝るまでに180回持ち上げるのが私の運動法で、もう10年以上続けている。そのせいか、ちょっと耳が遠いだけで体には何の問題もないよ」

 妻が引き取って、

「3カ月に1回、デイケアセンターに来る『老人医療』というドクターカーで健康診断を受けているだけで、病院にはもう何年も行っていません。風邪をひいたらまずお茶を飲む。大体それで治るし、熱がある時はリンゴやオレンジ、ブドウを食べます。すぐにお医者さんにかかるのでなく、自分で解決できないかと考えるのは、当たり前です」

 現地在住で中医学博士の楊さちこ氏も、こう話す。

「香港在住のIDを持っている65歳以上の高齢者には、政府から年間2000香港ドル分の『医療チケット』が支給されます。多くの人はこれを使って健康診断などを受けますが、それでも医師から処方される薬は『小さな薬』。食べ物は『大きな薬』と呼ばれ“まずは大きな薬で治す”という考え方が根付いているのです」

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