日馬富士暴行 他人事「白鵬」にも迫っていた捜査のメス

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「(暴行騒動が)長引いているが、いずれは良い方向に向かえばいい」「(引退した日馬富士に)どういう言葉をかければいいか見つからない」――今回の暴行騒動に対して、こんな“傍観者的”な発言を繰り返している白鵬。日馬富士は書類送検となったが、実は白鵬も……。

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「白鵬はまるで他人事のように振る舞っていますが、一歩間違えれば彼も日馬富士と『同罪』の可能性があった。実際、捜査当局は白鵬の刑事訴追のシナリオを検討していたんです」

 こう明かすのは、ある捜査関係者だ。

「日馬富士と白鵬が、貴ノ岩暴行において『共謀関係』にあったと考えれば、充分罪に問えるのではないかと。それほど、白鵬は暴行騒動に深く『関与』したと見ていたわけです」

 そもそも暴行騒動の舞台となった10月末の「モンゴル飲み会」は“白鵬が声をかけなければ貴ノ岩がそこに行くことはなかった”という指摘がある。さらには「貴ノ岩が殴られている数分間、彼が血を流し始めるまで白鵬は日馬富士を制止しなかったとの情報もある」(相撲協会関係者)。ゆえに「スワット判例」なるものを用いて、白鵬を共謀共同正犯に問うというシナリオが練られたという。

 共謀共同正犯とは、実行犯と「共同」して犯罪に及んでいなくても、「共謀」したことをもって実行犯と同等の刑罰を科す法概念。例えば、ある組織のトップが、自分の手を汚さないために部下に犯行を命じた場合などがこれにあたる。そしてスワット判例となったのは、2003年に最高裁判決が下された事案だ。暴力団組長の直接的な指示があったわけではないものの、スワット(ボディーガード)が拳銃を所持していたのには、黙示的な意思の連絡があったとして、組長に対する共謀共同正犯が認められた。過去には、山口組の司忍組長に対しても銃刀法違反の共謀共同正犯が適用されている。

 白鵬と日馬富士の間にも“黙示的な意思の連絡があったのではないか”というわけである。スマホを見ていた貴ノ岩に日馬富士が「大横綱(白鵬)に失礼だ」と激高したとの情報もあることなどから、

「白鵬と日馬富士には『主従関係』があったと見なすこともできる」(先の捜査関係者)

 という。結局、「スワット判例」を援用する決断ができなかったのか「白鵬刑事訴追」のシナリオは日の目を見なかったが、果たして日馬富士と白鵬の差はどれほどだったのか――。

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 12月20日発売の「週刊新潮」では、貴乃花親方が闘う「検察」「読売新聞」の巨大権力の存在と併せ、暴行問題を詳しく報じる。 

週刊新潮 2017年12月28日号掲載

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