すさまじき「活字」パワー 前頭葉活性化の「読書三昧」百寿者たち

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 百寿者の多くが趣味に読書を挙げる。なにしろ、100歳を超えて日がな一日読書に耽るくらいだから、認知症とは無縁ということ。100歳ライフの「質」を保証する活字パワーの威力たるや、すさまじい。

 島根県の百寿者に触れて感じるのは、みな好奇心が旺盛だということだ。

「サラリーマンを定年になり、家にいるようになったときに趣味がない人はボケやすいし、寿命も短い傾向にあります」

 と話すのは総合内科医の秋津壽男医師だが、松江市に住む五十嵐久一さんは、家族によれば、

「8月に100歳を迎えましたが、今もボケは全然なく、書く字も崩れておらずキレイ。年賀状も毎年30枚以上、自分で書いて出していますね」

 そんな五十嵐さんの趣味が、読書なのである。

「新潮文庫はよく読んでいますし、月刊文藝春秋などは毎月、買ってくる私より先に読んでしまいます。デイサービスがない日は、半日丸々読書ということもある。好きな作家は宮部みゆきさんなどで、サスペンスを読んで頭を使っているのもいいのかもしれませんね。おもしろい小説は一日中でも読めるみたいです。戦争経験者なので従軍記のようなものも好きで、歴史ものも。小説を読みながら、世界地図や日本地図を広げて舞台になった土地を探したりしています」

 やはり松江市在住の青砥武一さんは、家族によれば104歳の今も、

「毎朝、新聞が届くと家族より先に読んで、どこどこでなにがあったみたいだよ、と教えてくれるんです。政治面や社会面も読んでいるみたいですが、島根県版に親戚が住む地域のニュースが載っていたりすると、それについて家族と話したりするんです。時折、読書もしています」

 また、青砥さんの例を聞くかぎりは、ある程度の年齢からでも手遅れにはならないようだ。

「現役のころは農作業が忙しく、あまり読書などはできなかったようですが、90歳をすぎたあたりから、興味ある本には手を伸ばすようになったみたいです」

 読書の効用について、筑波大学名誉教授でメモリークリニックお茶の水理事長の朝田隆氏に、医学的な見地から語ってもらおう。

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