刑務所内での極秘育児! おばちゃんたちの勇気とお節介が満載『監獄のお姫さま』第5話

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奪われた勇介 衝撃のラストシーン

 この物語では「クリスマス・イヴ」が大きな鍵を握っていることは言うまでもない。2013年12月24日、しのぶが勇介と過ごせる最後のクリスマスには、刑務所の女囚全員から小さなショートケーキが勇介のために差し入れられた。たくさんのショートケーキの前で微笑むしのぶは、立派なママの顔を見せていた。

 しかし第5話は、こうした心温まる刑務所内での育児風景を吹き飛ばしてあまりある衝撃のエンディングを迎えたのだった。

 刑務所内での子育て期限は1歳半までである。その後、しのぶは絶縁状態となっていた母(筒井真理子)に勇介を預けることにする。「あの男には気をつけて」と言い、絶対に板橋に勇介の存在を知らせてはならないと念を押したしのぶだった。

 ……しかし、母親役が筒井真理子という時点で怪しい。劇団、第三舞台(鴻上尚史主宰・2012年解散)の所属だった筒井は、若い頃から妖艶な色気とどこか裏のありそうな存在感が持ち味の女優で、劇団解散後も多くのテレビドラマなどで活躍している。そんな彼女は、画面に出てきた瞬間からすでに怪しい匂いをぷんぷんさせていた。そして、カヨ、千夏、ふたばたちに伴われて、しのぶが勇介と別れるシーン。黒塗りの車からあらわれた筒井。束の間の沈黙のあと、彼女は言った。

「しのぶちゃん、ごめんなさいね」

 その言葉とともに、運転席から登場したのは、ものすごくワルそうな表情の板橋だった。この時ばかりは、おのれ筒井真理子ーッ! と、思わず名前を叫んでしまった。いかにもカネでなびきそうな薄幸っぽい雰囲気出すな! この名女優が……ッ!

「ママー!」と、板橋に抱かれた瞬間、勇介は泣き出した。これまでの回で女たちに縛られて乳首を出していたセクシー担当の面影なんか吹っ飛んでしまいそうに、板橋を演じる伊勢谷友介の表情は憎たらしかった。思わず駆け出したしのぶを取り押さえるふたばの表情はやりきれなさに満ちていて、せつなかった。

 しかしここから多くの疑問が生まれる。のちに板橋と結婚したタレントの晴美(乙葉)はなぜ、勇介を実の息子のように可愛がっているのか? どうやって勇介の親権を自分のものにしたのか?(それとも、親権はまだしのぶに?) どんなふうに彼が周囲を欺き、社長として盤石の地位を固めたのか。謎はまだ多く残されており、次回が早くも待ち遠しい。

西野由季子(にしの・ゆきこ)(Twitter:@nishino_yukiko)
フリーランサー。東京生まれ、ミッションスクール育ち、法学部卒。ITエンジニア10年、ライター3年、再びITエンジニアを経て、永遠の流れ者。実は現代演劇に詳しい。新たな時代に誘われて、批評・編集・インタビュー、華麗に活躍。

2017年11月17日掲載

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