山口記者の週刊文春「韓国軍にベトナム人慰安婦」記事はやはり捏造だった

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「文春記事」登場の教授の見解

 続く③では、山口記者によって証言をでっちあげられた2人について誌面で言及することがない。

 文春にこの点を質すと、

「小誌が入手している発言記録には、貴誌が創作と指摘されている小誌記事掲載コメントについて、確かに発言している箇所があることを申し添えておきます」

 念のため、本誌が取材した元大佐が山口記者の捏造に憤慨する動画は、こちらにて公開中である(https://www.dailyshincho.jp/article/2017/10181701/?all=1&page=2)。

 同じく③には、あちこち取材に出掛けたとあるものの、結局のところ誌面で確認できるのは、ベトナム現地取材のみ。そして、そこにあるのは、トルコ風呂に「軍の関係者らしき韓国人男性が資金を提供し」ていたこと、「上の階」で売春が行なわれていたと推察される「韓国レストラン」のオーナーが「韓国軍の偉い人」だということ。これだけではその出資が、一不良軍幹部の判断か軍全体の意向の元で行なわれたのか明らかではない。④のように、軍が売春宿の経営に関与していた証拠と見做すには十分ではなかろう。

 ⑤では、ベトナム戦争を研究する南ジョージア大のウィリアム・アリソン歴史学部教授を登場させ、「(当該施設は)韓国軍の公式施設だったことがうかがえる」と言わせている。そこで、当の教授に聞くと、公文書を再読したとして、

「この報告書にあるのは、施設オーナーが営んでいた不正通貨取引を取り締まるため、米軍捜査当局が行なった調査結果です。重点は闇取引にあり、施設で売春があったことはそれほど重視されていません」

 と総括し、見解を次のように明らかにする。

「私は、韓国軍司令部が売春施設を運営していたとは断じて言っていません。報告書によれば、韓国軍の関係者と施設オーナーが共謀し、売春も含むこの施設の運営に関与していたのは事実です。しかし、彼らが携わっていたのは違法行為であり、韓国軍司令部が認めたものではない。報告書には、軍司令部が独自の売春施設を運営していたことを示す証拠は存在しませんし、この報告書以外にもその点を示す資料はありません」

 ***

 去る10月24日、伊藤詩織さんの姿は、東京・千代田区の日本外国特派員協会にあった。『Black Box』刊行に際し、記者会見をするためである。その冒頭には司会者が、「山口氏も会見に招待したが、返事はなかった」旨を明かす場面があった。他方、山口氏はこれに相前後し、記者活動の再開を宣言。月刊誌に「レイプの事実はなかった」と主張する手記を寄せている。

 これからどんな活動をするのだろうか。公文書をちゃんと読めないその目で、証言を捏造するその手で。

週刊新潮 2017年11月9日神帰月増大号掲載

特集「レイプ被害『伊藤詩織さん』の会見からは“逃亡”! 山口記者の週刊文春『韓国軍にベトナム人慰安婦』記事はやはり捏造だった」より

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