寄り添い、寄り添われるという関係性 深い悲しみを通して描く「コウノドリ」第5話

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 産科を舞台にした医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』は、毎回異なる患者を迎えて、さまざまな出産のあり方を描いている。前作から2年が経過したセカンドシーズン、前半戦の山場となった第5話は、鴻鳥サクラ(綾野剛)らと、下屋加江(松岡茉優)ら若手の医師が、どのように「患者に寄り添うか」、それぞれの心のありようとともに、患者たちがいかに「医師に寄り添ってもらっていると感じられるか」に焦点を当てたものだった。

 下屋は緊急搬送されてきた大松美代子(井上依吏子)に、未熟児状態での帝王切開出産という手術をほどこした。しかしその後大松の息子は、動脈管開存症という合併症を起こし、早期の手術が必要になる。しかし帝王切開になったことに納得のいかない大松夫妻は息子の手術を拒否してしまう。

 一方、サクラの担当している妊婦、西山瑞希(篠原ゆき子)が切迫早産のために急遽入院することとなった。瑞希は同じく切迫早産で入院していた、同室の七村ひかる(矢沢心)と友情をはぐくみ、ともに長くなるであろう入院生活を支え合っていくことになる。

 しかし、瑞希の胎児は、突然のIUFD(子宮内胎児死亡)という事態を迎えてしまった。

 サクラは深夜まで、海外の論文や資料を調べて原因を探ったが、胎児死亡の理由は分からなかった。それでも「僕には今回の事態を予測することができませんでした」と彼が西山夫妻に頭を下げたのは、妊婦に寄り添う責任感からの行動だったように思える。サクラのその言葉を受けて、瑞希は「違う……」と首を振って号泣した。先生のせいじゃない、と言いたいのが画面を通して伝わる、切実で苦しい表情に涙がこぼれた。

 死産でも、母は陣痛を起こして子どもを産まなければならない。夫婦で決めた「あかり」という、娘の名前を叫んで呼びながら、瑞希がもう生きていない娘を分娩するシーンでは涙が止まらなかった。

 瑞希を熱演した篠原ゆき子の公式ブログには、放映後、多くの共感やねぎらいのコメントが寄せられており、いかに今回のエピソードと篠原の存在が視聴者に響いたのかを、物語っている。

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