久米宏、エッセイで初めて明かした「ニュースステーション」降板のワケ

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「そろそろ潮時だ」

 なにより興味深いのは、久米自身も一番ページを割いている、「ニュースステーション」についての記述だ。

 85年に誕生した番組は、従来の報道番組に無いセットを構え、都会的でファッショナブルな作りがウケた。その一方で、

〈発信力が高まるにつれ、自民党の番組に対する批判は激しさを増した〉

 全4795回の平均視聴率は14・4%。報道番組としては圧倒的な数字だ。にもかかわらず、彼は18年半続けた番組を、なぜ、降りてしまったのか。

〈「政治とテレビの関係」にあったのかもしれないと今になって思う〉

 2001年に小泉政権が誕生した際、マスコミを巧みに利用した「小泉劇場」の演出に、結果的にテレビが加担したことで、

〈そこに生じた、テレビと政治のいわば「不義密通の関係」。(中略)政治とテレビの関係に嫌な予感を覚えたことが、「そろそろ潮時だ」と決めるに至った原因ではなかったか〉

 そして、04年3月に番組は幕を閉じた。だが、同じテレ朝の看板番組「朝まで生テレビ!」の司会を務める田原総一朗氏は、

「あの番組は、権力に対する監視装置だった。彼がまた報道の世界に戻ってきてくれたら面白い」

 現在、久米は主にラジオで活動中。先日、ラジオ番組にゲスト出演した際、ニュースステーションの後釜として始まったあの“番組”について触れている。

「その週のうちに見たと思うんです。正直言って、辞めなきゃよかったなあという気持ちはちょっとありました。もうちょっと、続けた方が良かったかなって」

 意図して“久米節”を放つ話術は、今も健在だった。

週刊新潮 2017年11月2日号掲載

ワイド特集「ちはやぶる 神代もきかず」より

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