銀行が悲鳴を上げる「北朝鮮」「IS」マネー洗い出し

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テロ支援国家を容認?

 また、イランについては、

「イランといっても、当局が注意を払っているのがIS関係。営業圏内にイスラム教の礼拝堂“モスク”がある支店は、実際に足を運んで取引先の人間が出入りしていないかを確認しろ、と。さらに、その企業がイラン人を雇っていないかも把握するよう指示されています」(先の地銀行員)

 まるで、外事警察か公安調査庁の職員の仕事のようだが、

「現場は大変です」

 こう嘆くのは、大手信用金庫の企画部長だ。

「他の業務もあるので、全職員に振込先の変更確認まで徹底させるのは難しい。IS関係も同じ。見た目だけでイラク人か、イラン人かの判断はつかないし、対応を誤ると取引を打ち切られるどころか、人権侵害で国際問題にも発展しかねません」

 金融機関の現場から聞こえる悲鳴をヨソに、金融庁が手綱を引き締める理由は、マネーロンダリングやテロ資金対策のため、1989年に設立された政府間機関「FATF」の存在がある。経済誌デスクの解説では、

「FATFには、35の国と2つの地域機関が参加しています。これまでマネロン対策の相互審査は3回行われていますが、日本は“不十分”と厳しい評価を受け続けていました」

 審査で低評価が続くと、テロ支援国家を容認していると受け止められかねず、国際的信用も著しく低下するという。

「2019年10月に4回目の審査が行われます。金融庁は今度こそ高評価を得たいと考えて、銀行にハッパをかけているのです。ですが、書類提出期限を考えると、残された時間は2年を切っている。今後、金融庁の“指導”はさらに厳しくなるはずです」(同)

 金融機関にとっては、労多くして、益少なし。が、今回ばかりはお上の意向に従った方がよさそうだ。

週刊新潮 2017年11月9日神帰月増大号掲載

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