データ改竄で揺れる神戸製鋼所に“コネ入社”していた「安倍晋三首相」

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野武士集団に揉まれた「お坊ちゃん」

 本社の配属先は「鉄鋼販売本部・鉄鋼輸出部・冷延鋼板輸出課」。競合は現在で言う新日鉄住金とJFEスチール。神戸製鋼のシェアは僅か5%という後発中の後発。ために課員は8人という小所帯ながら、「全員が野武士」という猛者集団だった。

上司に「よろしく頼むよ」と頼まれた輸出課長は「厄介なものを預かることになったなあ」と思いながらも、大物政治家の息子を見たいという好奇心には勝てず、「話は分かりました。ただ一切斟酌しまへんで。それで結構でしょうね」と答えた。輸出課は後発で悔しい思いをすることも多く、課員は負けず嫌いばかり。課長が回想する。

《晋ちゃんも性格的に負けず嫌いなところがあるから、向いていたんでしょう。「いまに見ておけよ、俺たちは必ず良い鉄を作って、売り込んでやるからな」という空気があって、晋ちゃんも入ってきてすぐに大きな仕事をこなすようになりました(略)今でも彼は取り引きで付き合ったアジアのディーラー名を二十社ぐらいはすらすら言えるはずですよ。それぐらい猛烈に働いた。しばらくしてアジアの商品シェアが非常に上がっていった。別によいしょするわけではなく、彼は彼なりに、きっちり結果を残しています》

 こうして安倍首相は神戸製鋼所で3年、会社員生活を送った。安倍首相自身の回想を引用しよう。

《溶鉱炉の現場を踏んだし、営業もやった。いろいろなことで悩み、悩まされ、そのなかで、「情」の大切さを再認識することもできた。それに人間関係や会社世界の厳しさも体験できました》

 82年、安倍首相は神戸製鋼所を退職し、父・晋太郎の秘書官となる。それから約35年。安倍首相は、どんな想いで古巣の騒動を見ているのだろうか。

週刊新潮WEB取材班

2017年10月27日掲載

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