パンダは「香香」ヒトは「渾」 当世“命名事情”

社会週刊新潮 2017年10月5日号掲載

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 上野で産湯を使ったパンダの命名は悠悠(ユウユウ)以来、29年ぶりとあって、応募総数は32万2581通!と大盛り上がり。その発表に臨んだのは、ここぞとばかりの笑顔を作った小池百合子都知事(写真)だ。

 結局、パンダの名は香香(シャンシャン)で、応募数は5161通だった。

「一番人気だったのは、ルンルンで1万2154通でした」(東京都)

 香香は最終の8候補の中ではトップだったとか。

「応募はカタカナなのでそれに漢字を当てて、中国と協議して決まりました。命名に当たり特にルールはありませんが、中国のパンダと同名でないことと語感がいいことですかね」(同)

 一方、万物の霊長たる人間には厳格なルールがある。

「日本で子供に命名する場合は、戸籍法50条に常用平易な文字を用いなければならないと規定されており、その常用平易な文字とは、平仮名とカタカナ、常用漢字と人名用漢字です」

 とは法務省民事局。香香の発表と同じ9月25日、法務省は人名用漢字に「渾」の字を加えると発表した。

「昨年9月に出生届を出された親御さんがお子さんの名に『渾』の字を使ったのですが受理されなかった。それで裁判所に不服の申し立てを行ったところ、家裁・高裁ともに“社会通念上明らかに常用平易な文字”と受理を命じました。それを受け人名用漢字に加えたのです」(同)

 渾身、渾沌、渾名の「渾」、そんなに平易だろうか?

「え? いや私どもは司法判断に従うまでですので……」(同)

 漢和辞典編集者で『人名用漢字の戦後史』などの著書もある円満字二郎氏は言う。

「戦後に改正された戸籍法は、読み易さを重視していました。しかし、80年代頃から“命名の自由”が重んじられるようになり、人名用漢字がどんどん増えることになりました。裁判官も“平易ではない”とは言いにくいでしょうし、きらきらネームのように読み方が凝ってくると、漢字だけ制限しても意味がない」

 パンダだって“ルンルン”は漢字にはしにくいかも。