「トランプ大統領」が決断させた10月総選挙 米朝対立で

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「能力が低い」

「菅さん(義偉官房長官)は、年内にしても少し待てば民進はもっと割れる、そこを叩くべきだという考えでしたが、トランプの本音と北の方針を実感した首相が『年内・早期』を選んだということです」(前出デスク)

 そんななか、政府のお粗末な対応を満天下に晒したのが、全国瞬時警報システム、すなわち「Jアラート」に関するゴタゴタである。これは、ミサイル発射や災害が発生した場合、携帯キャリアや地方自治体を通じ、警告を一斉発信するシステムを指す。

 ミサイル発射直後にあたる8月29日午前6時2分には、

〈頑丈な建物や地下に避難して下さい〉

 というメッセージが流れ、「頑丈なビルを探して外へ出てしまう」などといった落語のような事態がまま起こったという。

 9月15日の発射にしても、襟裳岬沖2200キロと言うかカムチャツカ半島の南東1500キロに落下することがほぼ確定的にもかかわらず、長野県北部にまで警告が発せられている。これじゃ、大事な折には機能しない狼少年に成り下がってしまう、という謗りも免れまい。

 永田町関係者のひとりは、

「Jアラートを鳴らして、“ちゃんとやっています”というアピールをすることで、政権の支持率アップにつなげたいということではないかと勘ぐってしまう」

 と異議申し立てをするし、石破茂元防衛相に聞くと、

「どこに落ちるかわからないという警告の仕方、これは国民に対して正しい情報の伝達だと思えない」

 と言う。先の佐藤氏は、

「イスラエルにも同様の警報システムはありますが、本当に危ない時に、“この場所の半径何キロ内に落ちます”という風にしか鳴らさないのです」

 と現状を踏まえたうえで、

「政府も日本上空を通り過ぎることはわかっていたはずで、騒ぎ過ぎ。大気圏外なら、ロシアや中国の弾道ミサイルはしょっちゅう日本の上空を飛んでいます。Jアラートで警告すべきは、日本の領土領海内に落ちる時、あるいは日本の領空を侵犯する場合です。大気圏外は国際法上、領空じゃありません。政府がそこをよくわかっていないから、今回も“領域に侵入”などと発表し、後から訂正することになった。要するに能力が低いのです」

 桂米朝が好演した「地獄八景亡者戯(ばっけいもうじゃのたわむれ)」に評判の悪い閻魔大王が登場する。何のことはない、選挙が近づき人気取りに走るのだが、地獄も同じということになる。

週刊新潮 2017年9月28日号掲載

特集「核ミサイル連射を勝利の女神にした『安倍総理』 『10月総選挙』選良たちの喜劇」より

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