小林麻央の“頼みの医師”も逮捕 「臍帯血」投与事件

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 他人の臍帯血(さいたいけつ)を使った再生医療が無届けで行われ、医師ら6人が逮捕された。

 再生医療とはおこがましい、と言うのは医学ジャーナリストの松井宏夫氏だ。

「赤ちゃんのへその緒や胎盤から取れる臍帯血に含まれる造血幹細胞を移植することで白血病などに効果が認められています。が、ガン治療や美容に使うと申請したところで通りません。無届けと言うより申請など出来なかったのでしょう」

 逮捕された6人のうち、移植に関わったのは京都健康クリニックの経営者・坪秀祐容疑者(60)と表参道首藤クリニックの医師・首藤紳介容疑者(40)の2人。

「どちらも温熱療法がガンに効くと謳っていましたね。中でも首藤クリニックの水素風呂には亡くなった小林麻央さんもすがったと聞きます」(医療関係者)

 今回の逮捕は臍帯血だが、いずれにしてもワラにもすがる患者の思いを、仁術でなく商売にした輩である。

 発端は2009年、茨城県の民間バンクの破綻だった。子供や家族が病気になった時のために臍帯血を有料で預かるのが民間バンクだが、破綻で1500人分が行き場を失った。

「それが預け主でなく、債権者に渡り販売、転売された。捜査のきっかけは13年末に高知の末期ガン女性が京都健康クリニックで受けた臍帯血移植。500万円も支払って4カ月後に死亡したため、遺族が警察に相談したのです」(社会部記者)

 この時は立件されなかったが愛媛、高知、茨城、京都の合同捜査本部は、臍帯血の販売会社、仲介会社、医師らをあぶり出したのだ。

 だが、臍帯血に詳しい東京都立多摩総合医療センターの幸道秀樹医師は憤る。

「12年には“民間バンクの破産により臍帯血が闇ルートに流れる危険”が国会で指摘されていました。厚労省が制度を整えておけば事件は防げたはず。いまやハゲに効くと頭に臍帯血を打たれた人もいるほどですよ」

 まだ氷山の一角……。

週刊新潮 2017年9月7日号掲載

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