「Ⅴシネマの帝王」哀川翔氏と「政界のプリンス」故・加藤紘一氏の意外な親交

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あの哀川翔氏が、故・加藤紘一氏の追悼本に、寄稿

 片や「Ⅴシネマの帝王」、こなた「政界のプリンス」なのだから、接点など浮かぶはずもない。だが、「加藤の乱」があまりに有名な故・加藤紘一氏(享年77)と、哀川翔氏(56)には交友があった。知られざる秘話を、加藤氏の死後に編まれた追悼本から紹介したい。

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 2017年8月23日、都内の高級ホテルで、加藤紘一氏を偲ぶ会が開かれた。加藤氏が肺炎のため都内の病院で死去したのは16年9月9日。一周忌を前に、加藤氏、小泉純一郎・元総理と共に「YKK」と呼ばれた山崎拓・元自民党副総裁(80)が発起人の一人となり、政界関係者500人が出席した。

 出席者には、山崎氏が編集委員長を務めた『加藤紘一追悼本』が配布された。どのページをめくっても、当たり前だが、出てくるのは政治家が大半。ところが、ただ一人の芸能人として、哀川翔氏がコメントを寄せているのだ。しかも見出しには「世代を超えた友人」と書かれている。一体、この異色の組み合わせは、どのような縁で誕生したのか。内容を紹介しよう。

 哀川氏は冒頭、《加藤紘一先生と交流があったと聞くと意外に思われる方がいるかもしれません》と切り出す。確かにその通りだと頷いて読み進めれば、《加藤先生の政策秘書が私の郷土の同級生だった縁で、お食事をしたり一緒にゴルフをしたりと仲良くさせていただきました》との謎解きがある。

 鹿児島県鹿屋市が、その政策秘書氏と、哀川氏の故郷。そうした背景から、この地で「加藤紘一杯ゴルフコンペ」が開催された。ところが加藤氏は急な公務で遅刻。だが、必死に駆けつけてくると、2コースほど回って東京にとんぼ返りしたという。この時に哀川氏は「義理堅い人だ」と感動したと明かしている。

 更に哀川氏がフジテレビの『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングに出演した際、加藤氏は花輪と祝電を送り、司会のタモリ氏も意外な組み合わせに驚いていたという。

 最も印象的なエピソードは、哀川氏が加藤氏の後援会に招かれ、選挙区の山形県新庄市、酒田市、鶴岡市を一緒に回った時のものだろう。新庄市で加藤氏は「うちの秘書の同級生、哀川翔さんです」と、まずは正確な事実関係を明かした。だが午後に酒田市に入ると、哀川氏の人気で会場は盛況だったこともあり、「私の友達、哀川翔さんです」と紹介。「秘書の同級生」からランクアップする。

 話はこれで終わらない。最後の鶴岡市では1000人以上が押し掛け、酒も入っていた加藤氏はよほど嬉しかったのか、「私の親友、哀川翔さんです」と胸を張ったのだという。哀川氏が「ちょっと調子が良すぎないか」と思っても誰も文句は言わないだろうが、「チャーミングでビッグな人でした」と独特の表現で好印象を語り、この寄稿を締めくくっている。

週刊新潮WEB取材班

2017年9月4日掲載

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