「眼球体操」はNG! 巷にはびこる「アイケア」は大ケガのもと

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 食生活のみならず、日頃から眼をいたわる習慣を身につけておくべきなのは言うまでもない。が、眼の病気を予防するという科学的エビデンスは無いブルーベリー然り、巷の俗説を信じて“自己流ケア”を施すと、かえって逆効果となりかねない。

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 深作眼科の深作秀春院長が指摘する。

「書店に行くと、眼にまつわる本の多さに驚きます。それだけ関心が高いということなのでしょうが、中には間違ったものも多いので要注意です。特に危険なのが、眼球を上下左右に激しく動かす『眼球体操』と、眼へのマッサージです。眼はいわば、外に飛び出した内臓であり、そこに強い刺激を与えていいはずがない。いずれも網膜剥離を起こすリスクがあります」

 さらには、

「『写真を眺めて眼がよくなる』と謳う書物もありますが、全く効果はありません。視線を交差させて立体像が浮かび上がるという趣旨の本も、絵を楽しむのは構いませんが、かえって疲れ目の症状を引き起こすだけです」

 それでは一体、何が有効なのか。

「1日に5分でも10分でもいいので、山々や高層ビルなど遠くの景色を見ることです。それから、蒸しタオルを眼の上に載せると、毛様体筋の緊張をほぐしてくれるので疲れ目には効果があります」

 夏場は“冷やしタオル”でも可というのは、日本大学病院の森隆三郎診療准教授である。

「例えば市販の目薬には、スーッとする清涼成分が含まれていて、眼に効いた気分にしてくれます。冷やしタオルにしても特段デメリットはなく、『夏は蒸しタオルより気持ちいい』と思えば問題はありません」

 眼の寿命は70歳程度とされている。平均寿命との“差”を心得た上で、メンテナンスに努めなければならない。

週刊新潮 2017年8月31日秋風月増大号掲載

特集「『失明』『認知症』を招く『白内障』『緑内障』『加齢黄斑変性』を完全防御」より

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