スマホ使用の小中学生、成績低下 「脳トレ」教授が語る脳への影響

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「脳トレ」教授が語る「スマホ」は脳の麻薬(1)

 文明の利器が我が身体と分ちがたいものだとして、その最たる例がスマホであることは論を俟たない。これを使用する小中学生7万人を追いかけ、見えてきたのは麻薬に比肩する脳へのダメージだった。果たして後戻りのできぬ道なのか否か、碩学による「黙示録」。

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 仙台市内の小中学生7万人に対し、「スマートフォンの使用が子供の認知機能に与える影響」について調査を始めてから7年の歳月が流れました。

 振り返ってみると、スマホを長時間使っている子たちの学力が低いということがわかったのが初年度。次年度は、スマホだけではなくタブレットにPCを含めたインターネット接続という観点から考察してみたんですけれども、同じ結果が返ってきたんですね。

 ただ、こういうデータを見るときに気をつけなきゃいけないのは「卵と鶏の関係」。つまり、スマホを使ったから成績が低くなったのか、成績の悪い子がスマホ大好きなのか。はっきりしないから追跡調査をしようというので、「連結可能匿名化」を用いました。子供たちに背番号をつけ、どの子が何番をつけているかは我々には全くわからないようにしてもらった上で、成長を追いかけて、今、3年になります。

 その中で明らかになってきたのは「使い続けると成績は下がり、使っていないと若干上がっていく。途中で使い出すと良かった成績が下がり出す」ということ。これで卵と鶏の関係は解けた。でも、これはまだ現象論です。

 その理由はどこにあるか、しっかりと学問で押さえなきゃいけないんですが、実はできません。というのは、今の生命科学領域の研究で学問にするには動物実験が必要だから。ラットに何らかの刺激を与え、それによって脳の中の遺伝子発現パターンとかたんぱく質の組成がどう変わったかというデータが取れて初めて、何かが起こって行動に変化が出たんだという解釈ができる。しかし、残念ながら実験動物はスマホをいじらないんですね。なので、今はとりあえずデータを重ねていくしかないという状況にあります。

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