ミランダ・カーを巻き込んだ「1MDB事件」とは

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〈ミランダ・カー 9億円相当の宝石を司法省に提出〉

 米各紙に、こんな見出しの記事が掲載されたのは、6月27日。もっとも、米司法省の狙いは彼女ではなく、宝石を贈った側にある。

「通称ジョー・劉(ロウ)。まだ34歳のマレーシア人実業家です。レオナルド・ディカプリオにピカソの絵を贈ったり、ビバリーヒルズの邸宅にはパリス・ヒルトンなどを招いて頻繁にパーティを開いています」

 というのはある経済ジャーナリスト。IT企業家と再婚したばかりのミランダはスパッと返却できたが、問題はロウの金の出所だ。

「ロウ自身も華人系の資産家の息子ですが、金は全て1MDBから流出したものだと司法省は見ています」

 ワンマレーシア開発会社(1MDB)は、マレーシアのナジブ首相の肝煎りで設立された歴とした国営投資会社。だが、乱脈経営から2014年末時点で負債がなんと“約1兆4000億円”。投資仲介者(ブローカー)のロウが引き出した金も数千億円と推定される。

「あのアンパンマンのような風貌に騙されるんです。でも、ロンドンの名門パブリックスクールのハロー校や米ペンシルバニア大ウォートン校を卒業。非常に頭が切れる人物ですよ」

 と在マレーシアのジャーナリスト末永恵氏は言う。

 だが、さすがにその命脈も尽きたはず……。

「それが、本拠にしている香港とクアラルンプールを今でも平気で往復。国会で証人喚問されるという話もいつしか立ち消えです」

 ロウは、ロンドン時代にナジブ首相の息子アジズと親友に。首相夫妻にも食い込み、ロスマ夫人にもミランダ以上に高価な宝石を贈ったと報道された。

「マレーシアは新興国となった今でも首相の権力が絶大。1MDB事件の批判も抑圧されていて、これで政権が代わるという話でもないんです」(同)

 しかし、国内で追及されない分、米司法省の他、スイスやシンガポールなどでも捜査は進む。まだまだスキャンダルが飛び出しそうな国際的大事件なのである。

週刊新潮 2017年7月13日号掲載

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