「籠池理事長」だけではない!?「加計学園」にも浮上する補助金詐欺疑惑

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 都議選も終わって政治的配慮も必要なくなり、大阪地検特捜部は間もなく森友学園の籠池泰典前理事長(64)の逮捕に踏み切る。実はもう一方の主役、加計学園の加計孝太郎理事長(66)にも、“補助金詐欺疑惑”が浮上しているという。2人は、同じ結末を迎えるのか。

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 安倍政権を追い詰める2つの学園の疑惑。その主役でありながら、水と油、北風と太陽くらい、2人は対照的である。

 加計(かけ)学園の加計理事長は一切の弁明もすることなく、ずっと雲隠れしたまま。

 加計学園の関係者が明かす。

「でも、久しぶりに身内の前には姿を見せました。理事長の誕生日は7月2日なのですが、毎年、お祝いのパーティが開かれています。今年は、加計グループが運営する『ヘルスピア倉敷』の宴会場で翌3日の夜6時から行われ、100人近い職員らが集まった。理事長はそこで、“お騒がせして申し訳ない”と、みなに頭を下げていました」

 その情報を聞きつけた新聞記者らもパーティ会場に駆けつけたが、やはり、加計理事長が取材に応じることはなかったという。

 一方、森友学園の籠池前理事長はメディアにやたらと露出し、言いたい放題。都議選遊説中の安倍総理のもとに向かい、昭恵夫人から寄付してもらったとされる100万円を返そうとするパフォーマンスまで演じる始末である。

 しかし、もうすぐその口も噤まざるを得なくなりそうなのだ。

 司法担当記者によれば、

「6月19日、大阪地検特捜部が国や大阪府から補助金を騙し取った容疑で森友学園を家宅捜索しましたが、国会閉幕から都議選までの間というタイミングを見計らってのことでした。それ以降、押収した資料の“ブツ読み”を続け、証拠固めをしてきた。いよいよ、都議選も終わって政治的配慮もする必要がなくなり、逮捕に向けたカウントダウンが始まったのです」

 しばらく、籠池前理事長は臭い飯を食うことになりそうだが、実は、他ならぬ加計理事長にも補助金詐欺疑惑が持ち上がっているというのだ。

 現在、加計学園が愛媛県今治市で進めている獣医学部新設の総工費は約192億円。そのうちの半分、96億円を県と市が補助金で負担することになっている。

「今治加計獣医学部問題を考える会」の村上治共同代表が指摘する。

「6月21日、今治市議会に獣医学部新設にかかわる資料の一部が提出されました。それは建設費の見積書だったのですが、施設は全部が“鉄骨造り”で、費用はトータルで約148億円になっていた。それに対し、施設面積は約9840坪なので、単純に計算すると坪単価は約150万円です。ところが、特殊な機能が求められる大学病院レベルの建物でも、坪87万円が相場。加計学園の建物はケタ違いに割高なのです」

 であれば、他の大学の獣医学部と比較してみたらどうなるか。

 3年前、十和田キャンパス(青森県)の獣医学部棟を建て替えた北里大学に聞くと、

「“鉄筋コンクリート造り”で、7階建てのA棟と3階建てのB棟にリニューアルしました。2つの棟が、渡り廊下で繋がっている構造です。もちろん、学生が授業で使うための講義室を始め、実験をする実習室、動物の病気の治療、予防などを行う臨床室など、獣医学部として必要な施設はひと通り揃っている。獣医学部棟としては、オシャレで凝った造りになっているのですが、建設費は当時で坪82万円でした」(総務部)

 一般的に、“鉄骨造り”より“鉄筋コンクリート造り”の方が値段が高いと言われる。にもかかわらず、北里大学は、加計学園のほぼ半値なのだ。 

 ありていに言えば、建築費があまりに割高であるため、加計学園に“補助金詐欺”の疑いの目が向けられるようになったのである。

■補助金だけで

 なぜなのか。

 村上共同代表が続ける。

「今治市は、補助金の金額を算定する根拠となる建設費の見積りなどについて、まったくのノーチェックでした。加計学園の出してきた数字を鵜呑みにし、ただ単に、“半分”ということで、96億円という補助金の金額を決めてしまっているのです」

 その後、補助金を盛り込んだ補正予算案が、市議会で3月3日に可決。続いて、3月31日には、加計学園から補助金交付申請書が届けられると、市は即日決裁で交付を決定したという。

「今回、加計学園の見積書が公にされたので、なぜ、坪単価が150万円と高額なのかと、市の企画課に問い合わせてみました。でも、“わからない”という返事を繰り返すだけ。一方、建築営繕課は、“見積書が手元に届いたばかりで、いまチェックしているところです”といった有り様でした。加計学園の言うがままですから、もし建設費の見積りを倍に水増しし、補助金だけで獣医学部を新設しようと目論んでいたとしても、市としてはわかりようがないのです」(同)

 森友学園の籠池前理事長の場合、建設業者らと組んで、虚偽の金額を書き込んだ小学校建設の契約書を作成し、国交省から補助金を騙し取ったとされている。

 岡山県政に詳しい人物が言う。

「加計学園の獣医学部の施設は、自民党の逢沢一郎代議士のファミリー企業などが建設工事を受注し、見積りも出しています。このファミリー企業は、他にもあちこちで加計グループの工事を請け負っている。逢沢さんの祖父が創業者で、現在は従兄が社長を継いでいます。安倍総理ほどでないにしても、逢沢さんも加計さんとは親しい間柄。8年前には100万円の献金を貰ったこともありましたし、いまも加計学園の国際交流局で顧問という肩書も持っています」

 つまり、見積書を書いたのは、ツーカーの関係にある建設会社。時節柄、疑いの目で見られても致し方あるまい。

 そこで、加計学園に建設費が高額である理由について取材を申し込んだが、回答はなかった。

「総理のご意向」をバックにした、強引なやり方が批判を浴びた加計理事長。

 しかし、道義的責任を問われるのみで済むのか否か――。

特集「『籠池理事長』だけではない!?『加計学園』にも浮上する補助金詐欺疑惑」より

週刊新潮 2017年7月13日号掲載

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