黒柳徹子は毎晩スクワット 健康長寿“万能ホルモン”の正体とは

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 20世紀の始め、世界中の科学者によって発見された「ビタミン」は医学を一変させたものだ。そして、医学が進んだ現代においても、驚きの物質が次々と見つかっている。その一つが「マイオカイン」だ。骨格筋から分泌されるこの物質は、糖尿病、認知症、動脈硬化、そしてがんをも防ぐという。医学者・科学者が注目する万能ホルモンの正体とは。

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 司会者の黒柳徹子(83)は、以前「徹子の部屋」にジャイアント馬場が出演した際(1998年)、こう言われたことがある。

「あなたは100歳まで舞台に出たいという話なので、これだけやって下さい」

 そこで受けたアドバイスは、ヒンズースクワットと階段の昇り降り。以来、摂氏50度のソマリアでも、リベリアで停電に遭遇しても、寝る前の50回のスクワットを欠かしたことがない。

 国内の「マスターズ陸上」で3連覇中の高齢者アスリート・遠藤隆氏=筆耕家=(93)も日々のトレーニングを怠らない。

「鉄棒を掴んだまま行う腕立て伏せ、ひざの屈伸運動は、ともに60回3セットを毎日行っています。また、土日には近所の河川敷でハンマー投げの練習もしている。回数は十数回で2時間ぐらいですね」(遠藤氏)

 現役にこだわり、80代、90代にして鍛練を欠かさない2人には脱帽するしかないが、最近の研究で、トレーニングの効果が筋力維持だけではないことが分かってきた。

 関節の病気や抗加齢について詳しい「そしがや大蔵クリニック」院長の中山久徳医師が言う。

「お二人がご活躍できるのは毎日のストレッチによる“マイオカイン”の効果が大きいと考えられます。激しい運動ではなくても、筋肉を伸ばし、収縮させるだけでいい。マイオカインはそれによって分泌される物質なのです」

 マイオカインとは聞きなれない名前だが、それもそのはず。医学界においても注目されるようになったのは最近になってからのことだ。ちなみにマイオカインは一つの物質を指しているのではない。マイオ(筋肉)とカイン(作動因子)の合成語で、筋肉が分泌するホルモンの総称である。

■筋肉が病気を防ぐ

 そもそも筋肉からホルモンが分泌されることが知られるようになったのは1990年代。当時、ホルモンといえば甲状腺や内分泌腺などから出るものという考えが主流だったが、次第に内分泌器官としての「筋肉」が注目されるようになり、それが、様々な病気と密接な関係を持っていることも明らかになってきた。

 3年前、医学雑誌がマイオカインの特集を組んだ際、企画を担当した首都大学東京・大学院の藤井宣晴教授が言う。

「加齢によって筋肉が減ると病気になりやすくなることは知られていました。マウスでの実験ですが筋肉があるとがんにかかっても生存率が高くなるという報告もある。筋肉が病気を防いでいるという認識が広まってきたのです」

特集「『医学者』『科学者』が瞠目!『大腸がん』『糖尿病』『動脈硬化』『アルツハイマー』『うつ病』を防ぐ!! 夢の万能ホルモン『マイオカイン』」より

週刊新潮 2017年7月6日号掲載

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