トランプ政権、疑惑の「ロシアゲート」は弾劾の門

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 夏目漱石の小説『』は、過去の罪を抱えた男が救いを求めて門をくぐる――。翻って、「ロシアゲート」という“過去”を持つ米・トランプ大統領の前に現れたのは、くぐれば命取りという「弾劾の門」。司法の門番たる特別検察官の登場で、罷免の可能性も俄かに現実味を帯びてきたのである。

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■1年半で決着

 かつて出演したテレビ番組で、“お前はクビだ!”の決め台詞で一世を風靡したトランプ大統領。だが、今度ばかりは相手が悪かったという他ない。米・連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官の更迭から8日後の5月17日、司法省は、特別検察官にロバート・モラー氏を起用すると発表したのだ。

「特別検察官は、大統領選でトランプ陣営がロシア政府と組んでサイバー攻撃などを仕掛けていたとされる『ロシアゲート』疑惑の捜査を指揮します。彼はブッシュ、オバマと2つの政権でFBI長官を長らく務め、共和、民主両党からの信頼も厚い男です」(外報部記者)

 日本では今ひとつ分かり難い「ロシアゲート」の実際を、現代アメリカ政治が専門の上智大学・前嶋和弘教授に解説いただこう。

「FBIはかなりクロだと踏んで捜査しています。トランプはビジネスマンなので、ロシアとの間で収賄罪、国家反逆罪などに絡む物証が出るかもしれない。捜査対象となるのはトランプの選挙陣営にいた3人です」

 その筆頭が、マイケル・フリン前大統領補佐官であると前嶋教授が続ける。

「彼は、モスクワに拠点を置き、ワシントンDCやロスにも支局のあるロシア政府のプロパガンダ放送局『RT』のコメンテーターを務めていました。開局10周年記念行事の際はプーチンの横に座っていたほど。もはやズブズブの関係と見られています」

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