私大出身者の希望の星か 「みずほ銀行」新頭取の評判

ビジネス週刊新潮 2017年4月27日号掲載

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みずほ銀行

 みずほ銀行のトップ人事が話題になっている。4月1日付で常務取締役から頭取に昇格したのは、旧第一勧業銀行出身の藤原弘治氏(55)だ。藤原氏は海外、企画畑を歩んだエリート行員だが、銀行界では“学歴偏重に一石を投じる異例の人事”と囁かれているのだという。

 みずほ銀行を傘下に置く、みずほフィナンシャルグループ(FG)の佐藤康博社長(65)は、4月1日に開かれた入行式で2421人の新入行員を前にこう挨拶した。

「大きな転換期が来ることは間違いない。我々は、50年に1度のターニングポイントに立っている」

“大転換期”に備える第一歩が、藤原氏の頭取起用だと考える行員も少なくない。経済誌の金融担当記者によれば、

「藤原さんは6年間のニューヨーク支店勤務後、企画部で“MOF担”をしていました。2002年の富士、第一勧業、日本興業銀行の3行統合では、統合作業の担当者として尽力したことで、“旧一勧のエース”と呼ばれていたのです」

 かつて、藤原氏と仕事を共にした行員は、

「銀行員は外では腰が低いが、行内では押しの強い人が多い。それに反して、藤原さんは手柄を同僚に譲ったり、取引先の前で部下を褒める稀有な人。また、高校時代にはスキーで国体に出場し、今でも行内の野球部や水泳部の顧問を務めるスポーツマンです。役員就任後も、実業団の水泳大会にエントリーしているが、多忙で大会当日の“ドタキャン”が続いています」

 仕事では王道を歩み続け、部下からの信頼も厚く、トップに上り詰めた藤原氏。評判抜群の新頭取は、意外な“弱点”を抱えているというのだ。

■東大や京大

「彼の弱点は、学歴です」

 こう苦笑するのは、みずほ銀行OBだ。

「藤原さんは早稲田大学で、しかも政経や法学部ではなく商学部卒。口の悪いOB仲間は、“早稲田大のしかも商学部卒が、よくトップになれたものだ”と。うちの頭取は、彼で7人目。過去6人の出身大学は東大経済学部が3人、京大法学部が2人、東大法学部が1人で、私大出身者は初めてです。三菱東京UFJや三井住友の歴代トップも、東大や京大卒ばかりですから、快挙といえます」

 頭取のみならず、メガバンクの幹部はほぼ東大や京大卒ばかり。藤原氏も、さぞ気苦労が絶えなかったはずだ。ちなみに、“上司”の佐藤FG社長は、東大経済学部卒。しかも、日本興業銀行出身と“古巣”も違うが、

「佐藤さんは学歴にこだわりがなく、使えると思う人をドンドン引き上げる。昨年4月、みずほFGはグループ横断のカンパニー制を導入しました。顧客別に5つの社内カンパニーを設け、意思決定を迅速化させるために、トップには絶大な権限を持たせる制度。欧米では当たり前だが、日本のメガバンクで導入したのは初めて。実は、カンパニー制の導入は、佐藤さんの悲願でした。何を隠そう、それを実現させたのが藤原さんだったのです」(同)

 つまり、藤原氏の頭取起用は論功行賞だったわけだ。とはいえ、それも実力で勝ち取った結果に他ならない。

「来年、佐藤さんはみずほFGの社長を退任し、会長に退くことが濃厚。後任社長は、旧興銀の子飼いを据えると見られています。藤原さんの課題は、佐藤さんの後任と二人三脚でカンパニー制を推進し、未だに残る旧行意識を打破することでしょう」(先の記者)

 実力があれば、学歴とは無関係でトップに立てる。藤原新頭取が輝き続けるのを願うのは、私大出身者だけではないはずだ。