安藤和津、「介護自殺」を身近に感じた20年間の介護生活を明かす

社会週刊新潮 2017年4月6日号掲載

  • 共有
  • ブックマーク

■愛情があればあるほど

 そこまで追い詰められた安藤の体験とは、

「『介護殺人』の人たちもそうでしたが、私も母の介護に追われて慢性的な睡眠不足に陥っていました。人間は眠らなければ体力も気力もなくなり、思考回路もおかしくなってしまう。母の晩年、私は毎日1、2時間の仮眠程度だったんです」

 その日常とは、まず、同じマンションの別の部屋に住んでいた母親が、

「朝の3時、4時に『ご飯まだ?』と言ってくる。トイレに行く際の介助では、一度便座に座ると立ち上がれないので、私の腕に掴まるのですが、何しろ体重は74キロ、その際の加重で何度も肩を脱臼しました。今でも肩の骨が変形しています。夜中は用もないのに15分おきに名前を呼ばれ、オムツも2時間に1回は交換しないといけない。仕事、家事、子育てと介護で、熟睡できることは全くありませんでした」

 したがって、

「本に出てくる介護殺人に手を染めた人の気持ちが痛いほど分かります。『手にかけてしまう』のって、コップに水が溜まっていって、表面張力が限界に来て、水が一滴こぼれ落ちるみたいなものだと思うんです。しかも愛情があればあるほど、相手を思いやればやるほど、必死に介護しますから、水はたくさん溜まるんです」(文中敬称略)

 ***

(3)へつづく

特集「『橋幸夫』『安藤和津』『荻野アンナ』『安藤優子』『生島ヒロシ』他人事ではなかった『介護殺人』の恐怖」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]