やっと自公合意「共謀罪」 安倍総理が成立を急ぐ理由

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戦略的互恵関係にヒビ

 森友問題で大炎上中の国会に、新たな油が注がれる。

 組織犯罪処罰法改正案、いわゆる“共謀罪”法案である。今月6日に衆院本会議で審議入りしたが、廃案を目指す野党4党との衝突は必至。

 政治部記者が言う。

「日程を巡っても自公の足並みが乱れた。もともとこの法案を今国会で通すことは両党で合意していたんですが、先の予算委員会で金田さん(法相)の答弁がかなり危なっかしいということが露呈してしまった。審議中に野党からの集中攻撃を受ければ、またボロが出ることは明白。公明党は7月の都議選に悪影響を及ぼすと判断し、審議の先送りを検討したのです」

 自民党幹部が続ける。

「この動きに焦った安倍総理は山口さん(公明党代表)を官邸に呼び出し、トップ会談まで行ったんですが、それでも山口さんは首を縦に振らなかった。陰に陽に説得を続けた結果、半ば押し切る形で合意に至りました」

 もっとも、金田法相のお粗末な答弁が再び披露されれば、安倍政権の支持率低下にもつながりかねない。

 にもかかわらず法案成立を急ぐのには、さる事情があるという。

「安倍さんは、『東京五輪のために(共謀罪の)創設は不可欠』と言っていますが、五輪なら別に今国会じゃなくても余裕で間に合うんですよ」

 とは、自民党中堅議員。

「5月末にイタリアのシチリア島でサミットが開かれますが、そこではテロ対策が議題の大きな目玉となる。ですが、日本はG7の中で唯一、パレルモ条約(国際組織犯罪防止条約)を批准していない。できれば出発前までには批准の条件である共謀罪を衆院通過させて、サミットでは『法案成立の道筋はついている』とアピールし、なんとか国際舞台での日本の面子を保ちたいのです」(同)

 無論、野党が“忖度”するはずもなく、思惑とは裏腹に、炎は勢いを増していきそうだ。

週刊新潮 2017年4月13日号掲載

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