時価総額230兆円 東証が熱烈誘致「サウジアラムコ」の威力

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■外国企業はわずか6社

 JPXのトップが、海外へ足を運び上場を依頼するのは異例中の異例。だが、アラムコにはそれだけの価値があり、ひいては日本とサウジアラビア両国が“ウィン・ウィン”の関係を築くきっかけになるという読みがあるからだ。

「アラムコが東証に上場すれば、懸案の問題解決の端緒になると期待しています」

 こう期待を口にするのは、JPX関係者だ。

「時価総額を元にした国別取引所ランキングでは、米国がトップで日本は2位。とはいえ、東証に上場している外国企業はバブル期に120社以上あったが、今ではわずか6社。推定時価総額230兆円の石油会社が上場すれば、他の外国企業が再上場を検討する呼び水になるでしょう」

 さらに、こんな効果も。

「アラムコは石油会社から脱皮し、幅広い業務を手掛けようとしている。その1つが企業誘致のコンサルティング。外国から企業の工場を誘致して雇用を創出し、税収を増やすことで国家財政の改善を目論んでいる。すでに、サウジ進出を表明した日本企業も少なくありません。ですが、アラムコが東証に上場すればさらに信用力が増し、日本企業の進出もスムーズになると思います」(同)

 が、ある上場企業の役員はこんな懸念を口にする。

「アラムコは、“世界最大の機関投資家”という顔を持つようにもなる。彼らが株を買った企業の株価は急激にあがり、企業価値も高まる。その反面、豊富な資金力を駆使すれば企業を乗っ取ることなど簡単。すぐに、信頼していい相手とは言い切れません」

 世界同時上場も視野に入れるアラムコ。決定権を持つ副皇太子サマを落とすには、もうひと押し?

週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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