GPIF、「株主優待」はどう始末? 運用益10兆円

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専門業者に売却

 株主優待の中身は様々。変わったところでは新日鐵住金の自社工場見学招待(抽選)、テレビ朝日ホールディングスのスタジオ見学(抽選)、そして防水工事を請け負う「マサル」はサマージャンボなどの宝くじを年2回提供している。

 GPIFは、国内株式の現時点での保有銘柄を公表していない。が、過去には「ディズニーランド」を運営するオリエンタルランドの株を保有していると報じられたことも。ちなみに、株主優待はディズニーランドか、ディズニーシーの1デーパスポートだ。よもや、高橋理事長はそれを使って“夢の国”で部下たちと祝勝会を開こうというわけではあるまい。

「株主優待は受け取っていますが、GPIFで使っているわけではありません」

 こう語るのは、GPIF企画部企画課の担当者だ。

「議決権の行使は委託先の金融機関に委ね、配当金は全額運用益に組み込んでいます。また、株主優待の割引券などは、専門の業者に一括で売却して現金化し、配当金と同じように処理しています」

 株主優待には、食品や生活用品なども少なくないが。

「現金化できない食品や生活用品などは、日本赤十字や東京都社会福祉協議会への“寄付”という形で対応しています。ただ、生鮮食品などの“ナマモノ”は、寄付した後に何か問題が発生するといけないので“廃棄”処分にせざるを得ません」(同)

 GPIFが優待を懐に入れていないことはわかった。で、今回の黒字は手放しで喜んでいいものなのか。

「株式投資ですから、儲けることもあれば損することもある。昨年4月から6月期の運用実績は5兆2342億円の赤字。市場の動き次第では、逆に巨額の損失を抱え込む危険も孕んでいます」(先の井出氏)

 我らの願いは、年金が1円でも増えること。期待してますよ、GPIFサン。

週刊新潮 2017年3月23日号掲載

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