安倍晋三と林芳正の“因縁”で熱戦 下関市長選

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 永田町では防戦一方の安倍総理も、地元山口では攻めの姿勢を見せた。

 下関市の市長選(5日告示、12日投開票)に、安倍総理の元地元秘書が立候補したのだ。迎え撃つは、同県選出で、安倍内閣で農水大臣を務めた林芳正参院議員が推す、現職市長。事実上の一騎打ちだった。

 投開票前、地元紙記者はこう解説していた。

「安倍さんと林さんは、中選挙区時代に互いの父親が激しく争った間柄。そのせいで地元市議会は今も、林派、安倍派に分裂しています。しかし、息子同士は衆参で分かれていたため、自身の選挙で争うことはなくなり、内心はともかく、表向きは協力しあっていたんですけどね……」

 ここに来てかつての対立構造が、亡霊のようによみがえり、表面化したのだ。

「安倍の地元秘書が総出で市内の企業や団体を熱心にくまなく回っていますし、昭恵夫人も今年に入って何度も応援に来ています。一方、安倍側候補に関する怪文書も飛びかっているそうで、稀に見る熱戦が繰り広げられていますよ。両派が真正面からぶつかるのは、息子の代になって初めてのことで、戦況は全く読めません」(同)

 地元有力市議の解説。

「林さんは、安倍さんが当選した2012年の総裁選に出馬していて、今現在も、衆院への鞍替え、そしていつかは総理に、という野望は決して捨てていません。総裁任期が3期9年になった今、超長期政権が射程圏内に入った安倍さんにとって、今すぐの脅威でないとはいえ、同じ地元にそういう野心家がいることは快くない。今回の市長選で林さんと対峙した上で叩き、力を見せつけようとしているのでしょう」

 23万有権者の争奪戦の結果は、首相元秘書・前田晋太郎氏の初当選――。

週刊新潮 2017年3月16日号掲載

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