ウィキリークス、“史上最大CIA機密”流出 笑うのは

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敵か味方かアサンジ氏

 大統領選挙中、「ウィキリークスを愛してる」と公言して憚らなかったドナルド・トランプ米現大統領。

 現在英国に潜伏中のジュリアン・アサンジ氏率いるこの内部告発サイトは、トランプ陣営については沈黙を守り、敵対する民主党や、ヒラリー・クリントン陣営のメールや内部文書などを流出させた上、トランプ氏は繰り返しそれを攻撃材料にしたのだから当然だろう。

「ところがそのウィキリークスが3月7日、突如2013年から16年までの米国中央情報局(CIA)のものとされる文書やファイル8761件を公開したのです。彼らは“史上最大の機密文書流出”を謳っていますが、大統領となったトランプ氏はさすがに賞賛することなどできません。米司法当局はCIAが契約していた民間業者から流出したものと睨んで捜査を開始しました」(国際部記者)

 文書の中には、CIAがなぜ収集したのか理解に苦しむ日本の顔文字の解読表((ノ`Д′) ノ彡┻━┻angry guy flipping a table「怒った男が卓袱台返し」など400種以上)といったものも含まれるが、世界中の携帯電話やパソコン、テレビをハッキングし、個人や企業、政府から情報を得る技術に注目が集まった。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は言う。

「また、その中にはCIAに“なりすまし”の専門部署が存在しているという情報もあります。他国にハッキングする際に身元を偽装しているのでしょう」

 昨年末、CIAは“トランプ氏を大統領に当選させるためロシアはサイバー攻撃を仕掛けていた”との分析をオバマ前大統領に報告、トランプ氏の反感を買っている。ぎくしゃくした関係に加えてこの事態では、信頼はさらに揺らぎかねない。

 外交ジャーナリストの手嶋龍一氏は言う。

「CIAも逆境ですが、実は今、政権への反発からNSC(国家安全保障会議)でも大量に辞職者が出ようとしています。米国の安全保障を担う根幹部分が揺らいでいることが心配です」

 水面下で続く米露の情報戦争。今回の米国の苦境を招き、笑っているのが誰かは明らかだろう。

週刊新潮 2017年3月23日号掲載

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