「なめんなジャンパー」を着たくもなる…生活保護の現場

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

告訴しても無駄

「小田原でも生活保護の受給者が増え、ケースワーカー1人で100軒近い生活保護世帯を担当しなければならないのです。相手が精神障害者だったりすると、話そのものが通じなかったりする。孤独死に遭遇することもある。夏場は腐乱して、あれを見たら食事も喉を通りません」(先の元ケースワーカー)

 問題の不正受給も増えている。同市では2007年度には6件だったのが、15年度には85件に。お金がないと言いながら、スナックでバイトしていたり、母子家庭なのに男性が同居しているケースは不正受給を見抜きにくい。そんな時は、証拠を押さえるためにケースワーカーが張り込みもやる。5年前には、会社を経営していながら不正受給していた女性を初の刑事告訴に持ち込んだ。

「この女性は、従業員2人を架空登録して、自分の給料を分散、合計153万円を詐取していたのです。膨大な時間をかけて調べ上げ、証拠を押さえたのですが、結局不起訴にされてしまった。女性は今ものうのうと生活保護を受けています」(市役所関係者)

 そんな仕事だから同市の生活支援課は不人気部署のトップで、今も4人の欠員が埋まらない。ジャンパーの文言に眉を吊り上げるマスコミに、彼らの悲鳴が届くことはない。

週刊新潮 2017年2月2日号掲載

ワイド特集「大寒のただ中にある身の廻り」より

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。