スーチー女史の“アキレス腱”、イスラム国の標的に

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難題解決は成るか

 昨年3月、ノーベル平和賞受賞者アウンサン・スーチー氏を国家顧問に戴く文民政権が誕生、日本企業も多数進出した「アジア最後のフロンティア」ミャンマーに、マレーシア当局が警告を発した。過激派組織イスラム国(IS)の支持者がテロ攻撃を計画しているというのだ。

「マレーシアで拘束された20代のインドネシア人男性が供述したのです。ミャンマーの少数民族で、イスラム教を信仰するロヒンギャ族を弾圧から救うためだといいます」(外信部記者)

 現代イスラム研究センターの宮田律氏は言う。

「ISの本拠地だった中東が現在、風前の灯火。インドネシアやマレーシアのIS参加者が、ロヒンギャ問題をダシにテロの場をミャンマーに求めたのかも」

 80万人ともいわれるロヒンギャ族は仏教国ミャンマーでは不法移民扱いされ、周辺国も受け入れを拒否する“アジア最大の難民集団”。国軍による集団虐殺やレイプ被害を訴えており、迫害を逃れてイスラム教国マレーシアには推計20万人が流入。問題を懸念した同国の軍高官は昨年、「ISの影響力拡大に利用されかねない」と警鐘を鳴らしていた。

「昨年のASEAN臨時外相会議でもマレーシアはミャンマーのロヒンギャ迫害に言及。スーチー氏へも、歴代ノーベル平和賞受賞者11人が国連への公開書簡で苦言を呈するなど批判が高まっているのです」(宮田氏)

 スーチー氏が蓋をしてきたロヒンギャ問題――そのアキレス腱がいま、テロの標的となっているのだ。

週刊新潮 2017年1月19日号掲載

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