沖縄ヘリパッド反対派の現地レポ 機動隊員に“俺を撃ってみろよ!”、「私的検問」で住民とトラブル

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 鬼の首でも取ったような騒ぎっぷりである。沖縄で機動隊員がヘリパッド反対派に投げつけた「土人」発言。糾弾の声喧(かまびす)しいが、では、反対派はかの地で何を行っているのか。彼らは本当に「被害者」なのか。地元メディアが報じないその「無法」な実態をレポートする。

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ヘリパッド反対派は現地で何を行っているのか

 10月24日の朝、渦中の米軍ヘリパッド建設地へ繋がる出入り口。建設資材搬入トラックを「反対派」が妨害せんと公道を占拠していた。間もなく現場にダンプカーが連なって到着。

「〇〇(=トラック会社の名)帰れ! 二度と来るな! お前たちは沖縄県民じゃねえ! 売国奴が!」

「反対派」は叫びながら一斉に車両に群がろうとする。それを阻止する機動隊員にはこんな言葉を投げつける。

「どけろ! お前、理由を言え、コラ!」

「早く異動願出せよ! 心がボロボロになるぞ!」

「犯罪者! 盗撮するな!」

 両者の間隔は30センチといったところか。唾が飛び、吐く息のにおいまで伝わってきそうな距離だ。機動隊員はマスク姿。睨み返す者もいたが、同僚に肩を叩かれ、無言を貫く。それを見て、

「みんなこっちに上っておいでー」

 道路脇の崖に上った女性が、隊員に向けて叫ぶ。

「何も答えられないで立ってるだけ? 市民を妨害するのは仕事じゃないでしょ。それで税金から給料もらっているんですか! その制服コスプレでしょ! 青服のコスプレ集団ですね!」

 あるいは、ダンプの前にプラカードを持って飛び出す女性がいる。隊員が引き戻すと、

「やめて! 触らないで! セクハラですよ! この人、気持ち悪いんですけど!」

 突然、道路を蛇行して走る青年がいる。隊員が取り押さえると、

「メディアが来てるから撮らせてあげただけだよー。サービスしてあげなきゃ」

■暴言、暴行、不法侵入が横行

 いかがだろうか。

 沖縄在住のカメラマンによれば、「今日は比較的おとなしい抗議活動の日」。その一コマだけとってもこれほどの罵声と挑発の声が聞こえてくる。しかし、この様子を地元紙「沖縄タイムス」が報じるとこうなるのだ。

〈10月24日午前10時40分、東村高江周辺のヘリパッド建設に反対する市民ら約20人が、工事資材を運ぶダンプの出入りに抗議しています。排気口の向きが法令違反だとして、機動隊員に「出入りを止めるべきだ」と指摘しています〉(「辺野古・高江取材班」のツイッターより)

「辺野古・高江取材班」のツイッターより

 沖縄県警の関係者が言う。

「“土人”発言は確かに酷い。私も憤りを感じます。でも、そもそも発言があった場所は米軍基地の中。『反対派』がそこに不法侵入したところで事が起こったのです。しかし、この違法行為はスルーして、さんざん挑発された機動隊員の発言だけを切り取って徹底的に批判する。このバランス感覚は何なのでしょうか。高江についての報道は、この件に限らず、一事が万事、似た有様なのです」

 沖縄県北部の東村(ひがしそん)と国頭村(くにがみそん)にまたがる米軍北部訓練場。その半分の返還が決まったのは、1996年の日米「SACO最終報告」である。条件は、返還地域にあるヘリパッド6つを非返還地域に移設すること。うち2つは完了したが、残り4つは反対の声が強く、手つかずのままだった。参院選終了後の7月22日、防衛省がその工事を開始した。

 以来、反対派は「やんばる」と呼ばれるこの地に乗り込み、前述の出入り口に陣取った。そして、あの手この手で工事を妨害する「抗議活動」を行っている。その現場を回ってみれば、暴言、暴行、不法侵入が横行する「無法地帯」となっている様が見て取れるのだ。

■“俺を撃ってみろよ!”

“土人”発言は酷いが、反対派の暴言、暴行、不法侵入も横行している

 例えば、この10月22日。「反対派」の女性は、機動隊に毒づいていた。

「暑いのに自分だけエアコンつけてどういうつもり? エアコン代払っているのはうちらでしょ。県民の立場になって考えなさい!」

 秋でも気温30℃前後あったこの日。機動隊車で彼らが待機しているのが気に食わないらしいが、ならば、はじめから来なければ良い。

 続けてこうも叫んだ。

「あなたたちは愚かで大馬鹿者ですよ。頭がおかしいか心がおかしいか、全部病んでいるかですよ!」

「この手の発言は日常茶飯事です」

 と言うのは、地元沖縄メディアのさる記者である。

「“くるさりんど、や!”と機動隊員や防衛省の職員に向かって言うのはしばしば聞きます。これは沖縄の方言で“お前、ぶっ殺してやる!”という意味。また、“夜道の一人歩きに気を付けろよ!”と言うのはまだましで、“お前の嫁さん犯してやる!”“子どもが学校に行けなくなるかもな”と言うのも聞きました。ヤクザまがいの脅しですよね」

 反対派のリーダーは、機動隊員らの顔を指差し、

「何だその目つきは! 拳銃持ってんだろ? 俺を撃ってみろよ!」

 と言うのが得意だとか。

「要は、彼らは挑発して、機動隊員らが失言したり、手を出してくるのを狙っているんです。暴言はまだかわいい方で、水を口に含んで、ピュッと顔にかけることもある。ドサクサに紛れて、隊員をこづくのは当たり前の話。反対派がアジトにしているテントに防衛省の職員が連れ込まれ、4~5人に掴まれて、警備体制が書かれた書類を奪われたこともあります」(先の記者)

■「私的検問」でトラブルも

沖縄の不都合な真実』の共著者で評論家の篠原章氏は、工事開始後、予定地を2度訪れている。

 同氏が言う。

「『反対派』はまるで“民兵”のように、現地を支配していました。工事関連車両や警察、防衛省の関係車両はもちろん、地元住民や観光客の車両の『通行妨害』も行い、あげく『私的検問』まで行っていたのです」

「妨害」のやり口はこうだ。工事現場の出入り口に向かうには県道70号線を通る必要がある。反対派はその途中に横や斜めに車を数台停め、車の往来をストップさせる。あるいはトラックの前をわざとゆっくり車を走らす「牛歩戦術」も取る。

「本当に頭に来ましたね」

 と憤りを隠さないのは、地元・東村で宿を営む村民・依田啓示さんである。

「私は通行妨害に3度も出くわしました。3回目にさすがにキレて“村民の生活を邪魔するな”と言ったんです。そしたら、反対派の男が“ヘリパッドを受け入れたお前らが悪いんだ。俺たちは平和のために働いているんだ!”と言い放った。あるパイナップル農家は、反対派に道をなかなか通してもらえず、出荷が2時間遅れて商品が傷み、売り物にならなかったそうです」

 実害が出るまでになって、「反対派」が次に始めたのが「私的検問」。これは70号線の数箇所に彼らが駐車し、来た車を停めて工事関係者か否かをチェックするというものだ。もちろん関係者なら取り囲んでUターンさせる。こうした「交通規制」で、現場にはたびたび大渋滞が発生した。

■“反対派の敵だと聞いたから”

 先の依田さんはこの検問にも出くわしている。

「9月17日のことでした。お客さんを車に乗せていたら、停まっていた車から5人の『反対派』が降りてきて、“Uターンしろ!”と言うのです。“俺は村民だ!”と言っているのに、工事関係者と誤解したのか、“戻れ!”の一点張り。それまでの恨みつらみもあって、私も車を降りて揉みあいになり、相手を倒して書類送検される羽目になってしまいました」

 依田さんにも非があるが、気持ちはわからなくもない。「通行妨害」「私的検問」だって、立派な往来妨害罪に該当する。依田さんだけが咎められるのはなぜか。

 それに加えて、

「事件の後、予約していたお客さんが“あなたは反対派の敵だと聞いたから”と宿をキャンセルするケースが相次いだのです。反対派はツイッターなどで私の情報を流していますから、その影響でしょう」(同)

 完全な営業妨害。「反対派」が好きな人権擁護の精神は一欠片もないのである。

特集「なぜ『土人』発言だけが報道されるのか? 沖縄ヘリパッド『反対派』の『無法地帯』現場レポート」より

週刊新潮 2016年11月3日号掲載

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