“IOC会長はプーチンに魂を売った”…ロシアのドーピング問題

国際週刊新潮 2016年8月4日号掲載

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 先送りに次ぐ先送りの末、開幕まで2週間を切った7月24日になって国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が到った結論は、問題処理の下部組織への“丸投げ”だった。

「30もの競技でロシアの国家ぐるみのドーピング関与を報告した独立組織、世界反ドーピング機関(WADA)が18日、ロシア選手団の全面除外を検討するようIOCに勧告しました。一国の全選手が出場禁止という異例の厳罰が下されるかと注目されましたが、結論は各国際競技連盟に判断を委ねるというもの。バッハ会長に対して“責任の放棄だ”“無秩序状態の始まり”、果ては“魂を売った”と批判の嵐です」(国際部記者)

 全選手が参加禁止となれば、潔白を主張し、民事訴訟も辞さずとする陸上女子棒高跳びの世界記録保持者、エレーナ・イシンバエワのようなケースが続出し、連帯責任をめぐる人権問題にも発展しかねない。会長も苦渋の決断だったろうが、

「これはロシアの全面的勝利ですよ。プーチンの高笑いが聞こえるようです」

 とは、あるロシア通の国際政治研究家だ。

「ロシアはソチ五輪に参加した全選手のドーピング再検査を飲み、調査にも全て協力するとIOCに下手に出る一方、スポーツ相は〈民事訴訟を起こす時が来た〉と選手たちを唆(そそのか)し、プーチン自身は西側諸国の陰謀だ、とさかんに批難。〈スポーツへの政治介入だ〉と言いながら、ラブロフ外相から米ケリー国務長官に電話をさせ、WADAの勧告が〈煽動的で反ロシア的〉だとしてシリア内戦やテロ対策への影響もちらつかせています」

 それこそ政治介入ではないのか。しかも、

「フェンシングの金メダリストだったバッハ会長はソチ招致以来、プーチンとは懇意で、元々全面除外に消極的。現在の国際フェンシング連盟会長もプーチンの盟友の大富豪です」(同)

 かくて英断の時は過ぎ去り、憎まれっ子は相変わらず世に憚るというわけか。