年内の「1ドル95円」「日経平均1万円割れ」はあり得るか 英国EU離脱20の疑問(20)

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年内に為替1ドル95円と株価1万円割れの確率は?

 国民投票の当日、「離脱派」の勝利が明らかになると、日本では為替が一気に1ドル99円まで急騰し、日経平均は1286円の暴落となった。乱高下を続ける為替と株価はどこへ向かっているのだろうか。

 イギリスの急変を受けて急激な円高となってしまった為替だが、実は国民投票が行われる前に、かなり正確に予測していた金融機関がある。クレディ・スイスが大口顧客向けに“1ドル100円もある”と書いたレポートを配布していたのだ。

「同社は、日本銀行の現役行員をヘッドハントするなど調査部門に人材、そして予算を割いています。イギリスのEU離脱は予想外だったかも知れませんが、1ドル100円の水準の円高はいずれやって来ると見ていたのです」(シグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミスト)

 第一生命経済研究所の永濱利廣首席エコノミストによると、

「為替マーケットはEU離脱というインパクトに対してオーバーシュート(過剰反応)になっています。すると、何かのきっかけで、今度は1ドル95円を割ってくることは大いにあり得る」

 気になるのは為替と連動することが知られている日経平均株価だが、最大で1万4000円台半ばまで売り込まれると見る永濱氏に対して、田代氏が言うのだ。

「急激な円高局面では株価が過度に下振れすることがあります。麻生内閣時代に1ドル95円を切ると日経平均株価が1万円割れを起こしました」

 だとすれば、「日本的大混乱」は始まったばかりなのかも知れない。

「特集 ヘイトと衆愚が理性にまさった? 地球的大混乱で誰が笑うか? まさかの英国『EU離脱』20の疑問」より

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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