共産党が比例区に42人を擁立 供託金2億5000万円超え

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 いかな算段あってのことか。日本共産党は7月10日投開票の参院選で、比例区に42人を擁立した。過去最高の数である。

 野党担当記者の話。

「いくら票を伸ばしているとはいえ、前回の参院選の17人を思えば、今回は倍以上ですからね。自民党ですら25人です。しかも、党にそんなにカネの余裕があるとは思えない。不思議です」

 よく知られるように、共産党は国からの政党助成金を受け取っておらず、収入源の要は党機関紙「赤旗」。しかし、この頼みの綱もピーク時の355万部(1980年)から、124万部(2014年)と激減。台所事情は芳しくない。にもかかわらず最多擁立となった背景を、共産党ウォッチャーが解説する。

多額のカンパが消滅

「今回は1人区での野党共闘が実現し、共産党が立てたのは香川県選挙区のみ。1人区に投じるはずだった予算を比例区の供託金に充てているのです」

 比例区の供託金は一人600万円。42人分で2億5200万円もかかる。どのくらいを当選圏内と考えているのか。

「党幹部は比例で9人を当選させると意気込んでいます。当選すれば、参院比例区の場合、供託した総額を上限に当選議席の2倍の供託金が返還されるので、600万×18で1億円強は戻るという皮算用です。残りの約1億4000万円は国に没収されますが、それも党員からのカンパで賄えると考えているのです」(同)

 元共産党政策委員長の筆坂秀世氏はこう訝(いぶか)る。

「いくらカンパがあるからといって、貴重な資金を無駄遣いするほどの余裕はない。これは志位(和夫・党委員長)さんの読み違いです。志位さんは各選挙区の候補予定者に、『野党統一候補が立つ場合は比例に回す』と約束していたのです。統一候補の擁立は15区程度に留まるという予測だったのでしょう。ところが実際は32区。大量の候補者が比例に流れてきたわけです」

 たとえ党勢は拡大しても、金庫はカラッポという事態を招きそうなのだ。

週刊新潮 2016年7月7日号掲載

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