満天の星空みたいに、壁にゴキブリがびっしりと…〈清掃人は見た! あなたの近所の隠れた「汚部屋」(1)〉

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壁という壁に…

 まずは、ゴミマンションとは、どのレベルの汚れをまとっているものなのか。

「ドアを開けた途端、何年もかかって堆積したゴミの山に阻まれ、1メートル進むのに3時間かかることもあるよ」

 14年前、引っ越し業の立ち上げと同時にゴミ屋敷の清掃代行も行うようになった「クリーンエンジェル」の代表者Y氏は言う。まるで、エベレストの頂付近で、一歩登るのに難渋するアルピニストのようだ。

「ゴミのほとんどは、雑誌、本、新聞、ビールの空き缶、ペットボトル、コンビニ弁当の殻、衣類。これらのゴミの間を縫うように、タコ足配線の電源コードが四方八方に伸びている。ゴミ屋敷の場合だと、外から他人の生ゴミを持ち込んじゃうことがあるけど、ゴミマンションの場合はまずそれはない。とにかく捨てられないんだ」

 ゴミの山に電源では、いつ火事になってもおかしくない。マンションの場合、それは周囲の部屋を危険に巻き込むことを意味する。

 船橋市に本社を置く「エコフレンドリー」は、4年前、ゴミ清掃と遺品整理に特化して始めた会社。今では、前者の依頼だけでも、月に約30件あるという。

 代表取締役の坂田栄昭さんが苦笑を交えながら語る。

「ちょっとやそっとの汚部屋には慣れていますが、マンションの一室がそのまま、ゴキブリ部屋と化しているのを見た時はさすがにぞっとしました。壁という壁に、まるで満天の星空みたいに、大小さまざまなゴキブリがびっしり張りついている。なにしろ、火災報知機の中にも入りこんでいたくらいで、とてもすべてを駆除できません。隣室に逃げ込んだのもいたと思います」

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