“W杯でゴールを決めたときのような騒ぎ” ブラジルの「大統領弾劾」カーニバル

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 初の南米開催という歴史的栄誉に輝いたはずのリオ五輪。だが“栄華の花”の言葉通り、BRICsの成長は去り、招致の立役者で小学校卒の大統領として絶大な人気を誇ったルラ前大統領は巨大汚職疑惑で落魄。彼を後ろ盾としていたルセフ現大統領も「過去1世紀で最長」という深刻な景気後退の中、“弾劾”の憂き目に。聖火の採火式出席も叶わずニューヨークへ飛び、国連本部で弁明の始末だ。

「国際社会に向け、五輪開幕までに政治的混乱は収まると演説しましたが、行く末は暗い」(国際部記者)

 公金の粉飾会計疑惑により下院ではすでにルセフ氏の弾劾が可決、上院の審議は5月中旬にも結論が出る。

窮地に追い込まれたブラジルのルセフ大統領

「疑惑の渦中にあった前大統領を入閣させ、検察の捜査から守ったように見えたことが致命的でした」(同)

 300万人規模のデモが起き、最大政党が連立離脱、おかげで罷免は目前だ。

「ルセフ氏はこれはクーデターだ、女性差別だ、と抵抗していますが、国民はカーニバル状態です。下院の弾劾投票はテレビで5時間以上中継され、弾劾の賛成多数が決まった瞬間、街では花火が上がり、雄叫びが各所から聞こえてきました」(現地記者)

 さながらブラジル代表がW杯でゴールを決めたときのような騒ぎだったという。

「ただ、次期大統領と目されるテメル副大統領も弾劾される可能性があり、政治不信は深刻です」(同)

 Dar Um Jeito(なんとかなるよ)が口癖のブラジル人、五輪もなんとかできる?

週刊新潮 2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号掲載

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