【パナマ文書】日本でもできるペーパーカンパニーの作り方

社会週刊新潮 2016年4月21日号掲載

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 世界を揺るがす流出データ「パナマ文書」によって、タックスヘイブンで会社を設立し課税を逃れる「脱法行為」の実態が明らかになった。自ら、または親族や友人が関わっていた現役国家指導者・著名人には、習近平やキャメロン首相、メッシ、ジャッキー・チェンら。日本人では警備会社「セコム」の創業者とその関係者の記載が報じられている。

 では、他に名を連ねたのは、一体、どのような人々なのか。

「一般論として言えば、日本人がタックスヘイブンに会社を設立するケースで多いのは、相続税を軽くしたり、無税にしたりする場合。また、株やFXなど、投資益課税を軽減する場合も多く見られます」(この問題を取材するジャーナリスト)

 その前者のカラクリについて、香港在住の投資コンサルタント・笹子善充氏が説明する。

「タックスヘイブンに会社を作れば、法人税などあらゆる税金が掛からず、決算を報告する必要もないため、会社の口座はその代表者の財布とほとんど同じになります。ですから父親が息子に相続税を支払わせたくない場合、生前にタックスヘイブンに会社を作り、そこに自分の資産を入れておく。死後、その会社を息子が引き継げば、相続税を支払うことなく、資産が息子の懐に入るというワケです」

 もちろん、実際はそんなに単純ではなく、国外に住居を移すなど、他にもさまざまな手を講じる必要はあるし、より複雑なスキームが必要だろうが、日本の相続税率は、それがない国もあるのに比べ、最高で55%と高めに課されている。さまざまな手を考えたくなるのもわからなくはないのである。

 後者については、

「投資家などが、投資専門会社をタックスヘイブンに設立し、売買上生じる税金を払わずにファンドや株、FXの取引をするケースです。その他にも、店舗やオフィスを必要としないネットショッピングやアフィリエイトで収入を得ている人が、法人税を支払わないで済むよう設立するパターンがあります」(同)

 日本の株式譲渡益課税は、20%。法人税は、現在、国と地方を合わせて、約30%。これがタダとなれば、やはり目が海外へと向くのも止むをえない。

 掲載者が400と、それなりの数になったのには、それだけの理由があったというワケなのだ。

■ペーパーカンパニーの作り方

 実際、そうした流れを反映してか、日本人がタックスヘイブンに会社を構えるケースは目立つ一方。

 そのため、

「香港などには、タックスヘイブンに会社を設立するための請負会社が山のように存在しています。また、7~8年前までは香港に出向かないと開設は難しかったのですが、最近では、日本の法律事務所などでも、その請負をするところが出てきました」(先のジャーナリスト)

 と言うから、ずいぶん開設が身近になっているのだ。

「ペーパーカンパニーを作るのに必要な書類は、パスポートと住所証明が出来る書類くらい」

 と言うのは、先の香港在住・笹子氏。

「もちろん日本にいたままでも行えます。例えば、香港のエージェントにそれらの書類を郵送すれば、やはり香港にある税理士事務所、会計士事務所などを経由し、それこそモサック・フォンセカのような現地の事務所が設立のための手続きを行ってくれるのです。その期間は2~3週間ほど。費用も、25万~30万円で済みますし、通訳としてのエージェントを使わず、自ら頼めば、10万~15万円で作ることも出来るのです」

 かくして、世界のタックスヘイブン事情から取り残されていた感のある日本でも、近年、このような法人を持つ人や会社が増えてきた。もちろん、その数や実態は隠されたままであったが、それを白日の下に晒したのが、この度の「パナマ文書」暴露だったのである。

「特集 アイスランド首相は辞任! イギリス首相は支持率急落!『習近平』も『ジャッキー・チェン』も! 日本人400人という『パナマ文書』読解ガイド」より