「不肖の息子」の飲み代を政治資金という民主党「不肖の参議院議員」

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 いにしえより「桜は人を狂わせる」と言う。よもや陽気のせいではなかろうが、実に漫画のような話が出てきた。国民の浄財であるはずの政治資金が、こともあろうに民主党参議院議員の子息の胃袋へと流れていたのだ。

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 21日の朝日新聞朝刊は、民主党の大島九州男(くすお)参院議員(54)=比例=の政治団体が12〜14年、「会合費」として政治資金収支報告書に記載した計約109万円の支出を、今年になって「適切でない」として訂正、削除していたと報じた。朝日は事前に、十数件の支出について「私的な飲食」との疑いを指摘し、質していたという。

「端緒は長男のフェイスブックでした。その書き込みの内容が、議員が代表を務める政治団体『一票一心の会』『大島九州男後援会』の収支報告書に記載された会合費の日付や店名と合致するケースが、多数見つかったのです」(永田町関係者)

 長男の記述は、例えばこんな具合であった。

〈職場の皆さんとしゃぶしゃぶ食べ放題に行きました(中略)こういった機会を大切にして頂ける上司に恵まれて良かったです〉(14年2月13日)

〈19日に誕生日を迎えた母親のお祝いを、おばあちゃんも一緒にしました。(中略)野菜も美味しく魚も新鮮〉(14年2月21日)

「一票一心の会」の報告書を見ると、実際に14年2月13日、渋谷区にあるしゃぶしゃぶ店で3万8920円、そして21日には北九州市のフランス料理店で1万5750円の支出がある。いずれも長男が同僚や家族との会合で支出したのは一目瞭然。息子の私的な飲み代を、ご丁寧に父親が領収書を添えて処理していたわけだ。

■息子に聞くと…

 政治資金の問題に詳しい、神戸学院大学の上脇博之教授が言う。

「通常は、誰が飲食したかを検証するのはほぼ不可能。ですが今回は、秘書でもない息子がこまめに書き綴っていて判明したという稀な例です。脇が甘いというより、私物化することに麻痺しているのです。集めた政治資金を全くの目的外で支出したとなれば、横領に問われるおそれもあります」

 大島議員は日大を卒業後、地元の福岡に戻って学習塾やテニス教室を経営。91年から直方(のおがた)市議を3期務め、総選挙で2回落選したのち参院選に転じ、07年に比例で初当選した。現在2期目だが、11年には新宿のゲイバーでの飲食費2万5000円を、前出の「後援会」が収支報告書に計上していたことも判明している。

 一方で国会内でも風変わりな挙動がみられ、内閣委員会委員長だった昨年、閉会中審査の終わりに「最後だから挨拶したい」と言い出し、途中で止められたことがあったという。民主党のさる同僚議員も、

「頓珍漢なところがあって、安保法案強行採決の9月17日に特別委員会で鴻池委員長を待つ間、何と安倍総理や岸田外相、中谷防衛相の席に出向き、『お疲れさまです』と挨拶していました」

 そのズレた議員に問うと、

「ご迷惑かけますが、よくわかりません」

 東京都下の消防署に勤めている20代長男もまた、

「自分はわからないので、事務所に聞いて下さい。(取材は)威力業務妨害です」

 政治評論家の浅川博忠氏が言う。

「大島議員は学習塾を開いていたのに、教育に携わる者が身につけるべき倫理観がまるで備わっていません。民主も相変わらず身体チェックが甘い。民進党で再出発したいのなら、こうした議員には最低でも離党勧告くらいすべきです」

 それで“倫理”が身につくとも思えないが……。

「ワイド特集 さまざまの事おもひ出す桜かな」より

週刊新潮 2016年3月31日号掲載

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