これは興醒め「大震災5周年」お涙“横並び”写真

社会週刊新潮 2016年3月24日号掲載

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 東日本大震災から5年を迎えた翌日。追悼の風景を報じる新聞各紙は、被災者の胸の内を代弁し読者の心に訴えようと記事を練るが――トップの写真が皆同じではないか。

 たとえば、朝日新聞朝刊は、津波で亡くなった高校時代の同級生を偲び、海に向かって花束を投げる女性のカットを1面で掲載した。説明文には〈11日午後2時37分、仙台市若林区〉とあるが、同じ日の産経1面も、写真のアングルのみならず撮影日時や場所に加え女性の名前、エピソードに至るまで一緒。ややアップで捉えてはいるが日経も1面で、東京新聞も同様の写真……大本営発表じゃあるまいし。

 だが、津波に限っても北は青森から南の千葉まで、被害は6県62市町村にも及ぶ。“5年”の節目を報じるため、新聞社は総力を挙げて各地に記者を投入したのでは……。

「写真が撮られた仙台市の荒浜は、多くの遺体が見つかった場所。つい最近まで整地作業で立ち入りが禁止されていたこともあって、当日は全国紙や海外の通信社まで集まった。そこに花束を持った女性が現れたので、一斉に囲み取材を始めたというのが実際のところなんです」(全国紙記者)

 ヤラセや捏造の類ではないというのだが、評論家の徳岡孝夫氏はこんな意見だ。

「芸がないと言えばその通りだけど、新聞はやたらとシンボルを求めたがる。読者は幾つも新聞を見ていないから分からないなんて具合でしょう。せめてカメラマンたちは、良いアングルで撮ろうと現場で足の蹴飛ばし合いをしたと信じたい」

 なんだか興醒めである。