手元の現金が不足した「高倉健」相続税3億5000万円の捻出技法

社会週刊新潮 2015年12月31日・2016年1月7日新年特大号掲載

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「不器用ですから」と呟いた高倉健(享年83)が没して、はや1年余り。その私生活については、養女(51)の存在を始め徹頭徹尾、いわば器用に秘されてきた。が、“総仕上げ”ともいうべき遺産相続の段で、図らずも台詞通りの事態を招いてしまったという。

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 健さんの遺産は、その養女がすべて相続している。さる事情通によれば、

「生前は、本名の小田剛一名義で赤坂に築40年のマンション185平方メートルと、世田谷の850平方メートルの敷地に建つ、地上2階地下1階の豪邸を保有していました。それらはいずれも、亡くなった日の2014年11月10日付で養女に相続されています」

 とのことで、

「養女に残した資産は、預貯金などと合わせてトータルで7億円をゆうに超えている。これに伴い、およそ3億5000万円の相続税が発生したのです」

 元国税専門官の鈴木修三税理士が言う。

「相続税法では、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に相続税の申告と納税を済ませねばならないと規定されています。高倉さんの命日は14年11月10日ということですので、期限は15年9月10日になります」

 が、実際には思惑通りに行かず、そこから資産は“イレギュラーな動き”を見せていく。登記簿によれば、前出の赤坂のマンションは15年9月25日、千葉県にある医療法人に売却され、所有権が移転している。

「ここの理事長の自宅が同じマンションにあり、健さんの持っていた3階の部屋を買い足した格好です。室内リフォームを済ませたとして、相場は坪あたり320万円ほど。売値は1億8000万円といったところでしょう」(前出事情通)

■不本意な納税

 先の鈴木税理士によれば、

「すでに売買の時点で期限を過ぎているわけですが、こうした場合はあらかじめ税務署に延納の届け出をし、“売却の話がまとまりそうです”と状況説明をしておけば、直ちに当局が抵当権を設定するようなことにはなりません」

 という。一方、最期まで住み続けた世田谷の邸宅にも異変が起きていた。健さんを知る関係者によれば、

「ここにはもともと、江利チエミと暮らしていた家が建っていましたが、70年に火事で全焼してしまった。その後86年、およそ2億円をかけて延べ床面積440平方メートルと316平方メートルの邸宅2棟を建設。13年5月に養女を迎えた後、この2棟を内部で行き来できるよう改装工事を施しているのです」

 で、さる10月29日には、

「このうち小さいほうの棟を、彼女は自身が代表を務める個人事務所『高倉プロモーション』に売却しています。価格は推定で4000万円ほど。結果、辛うじて残りの1棟は守られたわけです」

 養女には、健さんの死亡退職金として高倉プロから1億5000万円ほどが支払われたとみられる。にもかかわらず、手持ちだけでは到底、納税額には達しなかったというわけだ。

「やむを得ず不動産売却へと手を広げるしかなかったのです。当局への物納こそ免れたものの、健さんの存命中はスムーズに事が運んでいた生活が、小さくつまずいてしまった。彼女にとっては、さぞ不本意な納税だったに違いありません」(同)

 草葉の陰にまで“不器用”がついて回るとは、さしもの健さんも夢想だにしなかったことだろう。

「ワイド特集 敵もさる者 引っ掻く者」より