乳房アート「前衛芸術家」が社民党の参院候補でどうなるか

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福島瑞穂副党首

「社会主義は民主主義を必要とする」というのは、旧ソ連の革命家・トロツキーの言葉。ならば日本の社会主義勢力は「おっぱい」を必要としている。12月11日に社民党の東京都連は、来夏の参議院選挙に前衛芸術家の擁立を決めた。母乳で絵を描くアナーキーなアーティストだが、同じ女性の福島瑞穂副党首は、彼女の作品をご存じなのか。

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 前衛芸術といえば、紙幣をオブジェに張り付けて警察にお叱りを受けたり、海に奇怪で巨大なカボチャを浮かべたり。或いは広大な広間の天井から便器が1つぶら下がっていて……。

 一見して作品の意図を理解することは至難の業だが、そんな視点で見れば、増山麗奈氏(38)のパフォーマンスも十分に前衛的と言えるだろう。知人によれば、

「イラク戦争が始まった2003年には、反戦を訴えて日比谷公園の周辺や永田町をショッキングピンクのビキニ姿で練り歩いていました。国会前では警察官に注意を受けましたが、“日本には言論の自由があるでしょ〜!”と食ってかかる場面もありました。彼女が言うには、これも芸術作品なんだとか」

 そんな彼女に注目が集まったのは、「おっぱいアート」がきっかけだった。

「04年頃から、アートイベントの会場で露出させた乳房を搾って母乳を飛び散らせたり、絵の具代わりに絵を描き始めました。別のイベントでは、母乳を混ぜて作ったという手作りクッキーを会場で販売したこともあって……」(同)

 とにかく、ぶっ飛んでいることは間違いない。

■「反対はない」

 破天荒な作品の評価は専門家に任せるとして、彼女とて選挙となれば広く世間に支持を訴える必要がある。が、そもそも前衛芸術は万人に理解されるものではない。つまり、「前衛芸術家の立候補」はある意味、二律背反していることになる。

 というのも、政治は広く大衆に支持を訴える活動だが、前衛芸術は“分かる人だけが評価する”という性質のもの。要は社民党にとっても増山氏にとっても、互いに得るところが少ない奇妙な出馬話なのだ。が、社民党東京都連によれば、

「増山さんの戦争反対という理念が党や福島副党首と完全に一致していますから。おっぱいアートですか? まあ、最近はやってないそうですし、誰でも若い頃は色々あるんじゃないですか? 都連の決定に福島は関わっていませんが、増山さんのご主人と福島はインターネット番組で対談したこともある旧知の間柄。どんな作品だったにせよ、擁立に反対することはないと思いますよ」

 が、政治アナリストの伊藤惇夫氏は呆れ顔だ。

「長く女性党首が続いた社民党には、女性が立てばある程度の比例票が見込めるという思惑があるんです。そこであちこち候補者を探してみたものの、本当に知名度がある人には断られた。結果的に、彼女のような“ちょっと変わった人”しか応じてくれなかったのでしょう。もはや政党として崩壊寸前ですから、やむを得ませんが」

 17日には、党本部で正式に公認候補として承認される予定という。

「ワイド特集 サンタクロースのすべらない話」より

週刊新潮 2015年12月24日号掲載

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