ロシア機で「パリ往復5万円」という悩ましき安値

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 IS一派がパリで起こしたテロから、もうすぐ1カ月が経つ。クリスマスシーズンだというのに、電飾に彩られたシャンゼリゼ通りの人出は例年には及ばない。

「大手旅行代理店の調べでは、日本からフランスを訪れる観光客は前年同月比で約8割も減っています。今年1月の『シャルリー・エブド』紙襲撃事件の時は、前年同月比で約2割しか減りませんでしたから、観光産業がGDPの1割ちかくを占める仏経済への打撃は深刻です」(外報部記者)

 テロ後、旅行会社が特例として、フランスへのパッケージツアーのキャンセル代を無料にする便宜を図ったのも、“パリ離れ”阻止の思惑からだろうか。航空、旅行各社も必死だ。

「格安航空券を扱う各種のウェブサイトでは、今月以降、東京とパリを結ぶ航空券が、相場より1割前後も安く販売されていますね」

 とは、海外旅行事情に詳しいジャーナリスト。航空券の価格は需要によって変動しているが、いつもだとお正月休みを控えたこの時期は、年末年始の旅行客で満員御礼のため、ネット上に割安で出回っていることは稀だという。

「普段は10万円を超える人気のエールフランスでも、出発日を選べば公式サイトから往復6万7000円で購入することも可能ですよ」(同)

 ISに空爆を仕掛けるロシアの、代表的な航空会社であるアエロフロートは、パリ往復5万円台のチケットを販売中だ。お正月を外して2月以降の出発を選べば、往復3万円台で欧州旅行を楽しめる。

「安さの理由は、テロのせいばかりではありません。航空券の本体価格とは別に支払う燃油サーチャージが、12月1日から大幅に下げられたことも影響しているんです」(先の記者)

 航空各社は、原油相場の推移を見ながら価格を2カ月毎に見直しているのだ。

「ANAとJALは、パリ往復で7000円安くなっていますが、これは約6年ぶりの低水準です」(同)

 何もこんな時に安くならなくても――。

週刊新潮 2015年12月17日号掲載

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