夏樹陽子「三國連太郎さんに誘われた大腸の内視鏡検査で……」 がんに打ち克った5人の著名人(2)

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 女優の夏樹陽子さん(63)も、自分からではなく、アドバイスに従って検査を受けたことで、難を逃れたひとりである。

 ファッション・モデルから女優に転じ、77年の千葉真一主演の映画『空手バカ一代』にヒロインとしてデビュー。国際C級ライセンスを持ち、愛車はフェラーリ。押しなべて車高が低い“跳ね馬”を相棒とするのは、腰回りの柔らかさ、すなわち若さを養う目的だとか。

 さて、近年もNHK連続テレビ小説『マッサン』に出演するなど、活躍を続ける彼女を大腸の内視鏡検査に誘ったのは、2年前に物故した俳優・三國連太郎さんだった。

「検査なんてしたこともありませんでした。でも、三國さんの奥様も勧めてくださるので、“行ってみようかな、終わったら美味しい物でも食べに、ルンルン”なんて、軽い気持ちだったんです。もう6年前のことですね」

 するとポリープが見つかった。医師はこう言った。

「小さなものは取りましたが、1センチのものがあったんです。出血するといけないから、後日あらためて取りましょう。僕は良性だと思いますけれど」

 夏樹さんは医師が笑顔だったので、「良性」と信じた。テレビドラマ『渡る世間は鬼ばかり』の撮影を1カ月間行なったあと、ポリープを切除したのだった。

 1週間後、何も知らない夏樹さんはそれこそルンルンと病院へ向かったところ、医師の表情が硬い。「実はね」と切り出した医師はこう続けた。

「あったんですよ、中にがんが。でも根っこからきれいに取ったので、もう絶対に心配はいらない。とにかく完治です」

 そう言われても、がん細胞があったという事実をとても受け入れられなかった。

「全身から血の気が引いていくようで、あとはもう何を話したかよく覚えていないし、ふらふらと駐車場まで歩いていきました。家までどうやって帰ったかも覚えていません」

 塞ぎ込んだ状態は10日ぐらい続いたという。

「三國さんにお伝えしたら、“早くわかってよかったね。仕事がんばりなさい”と言ってくださって。三國さんに誘われなければ、がん細胞が大きくなって、やがて転移していたかもしれないと思うとね。そこを救ってくださったわけで、そのことに感謝して、これからもがんばらなきゃと思いました」

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 夏樹さんがショックを引きずった理由のひとつに、「食事に気を使っていたのに、がんになったこと」がある。たとえばご飯は、玄米、赤米、そこに南米アンデスの雑穀アマランサスを加えたりしていた。これはお通じにも腸にも良いはずだったのに……と。

「あれ以来、身体への負担を考えてお肉の量を意識的に減らしました。あとはぬか床を始めまして、暇があったらかき混ぜています。それに体を冷やさないことにも気をつけています」

 むろん、何が奏功し、裏目に出るかは誰にもわからないのだが、最近、夏樹さんの周囲では、がんで亡くなる人が増えてきたと言う。とくに目立つのがスポーツマン。“自分に限ってがんはない”と根拠もなく自信を持つ人ほど落とし穴があるとして、こう忠告する。

「気になる症状がなくても、定期的に検査を受けて欲しい」

「特別読物 がんに打ち克った5人の著名人 Part2――西所正道(ノンフィクション・ライター)」より

夏樹陽子 女優
1952年生まれ。著書に『夏樹陽子キレイの秘密』(世界文化社)、『夏樹メソッド 女優人生38年 同じ体型をキープ!』(主婦の友社)。

西所正道(にしどころ・まさみち)
1961年奈良県生まれ。著書に『そのツラさは、病気です』、近著に、がんを契機に地獄絵に着手した画家を描いた『絵描き 中島潔 地獄絵一〇〇〇日』がある。

週刊新潮 2015年12月10日号掲載

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