トルコ恫喝で「プーチン」が浴びる煮え湯

国際週刊新潮 2015年12月17日号掲載

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「これで終わりだと思うな」「トルコは幾度となく後悔することになる」

 3日、クレムリンでプーチン大統領はトルコに怒りをたぎらせた。

「11月24日に起こったロシア軍機撃墜事件以降、プーチンは執拗にトルコを批難。謝罪を求めるとともに、矢継ぎ早に制裁措置を打ち出しています」(国際部記者)

 チャーター便の運航禁止にトルコツアーの販売禁止、天然ガスの新パイプライン建設計画を凍結し、農産物を輸入禁止にする。あげくが冒頭の発言というわけだ。

「その上、トルコはテロリストと共謀している、過激派組織イスラム国から原油を購入している、と痛罵が止まりません」(同)

 だが、トルコのエルドアン大統領も負けていない。

「謝罪しないという方針を掲げたばかりか、イスラム国の原油密輸に関与しているのはロシアの方だと応じました。しかも、仮にロシアの言い分が正しければ自分は辞職するが、プーチンにはその覚悟があって発言しているのかと啖呵を切った。農産物の禁輸についても、“ロシアが買おうが買うまいがどうでもよい”、と強気です」(同)

 トルコにとってロシアは重要な輸出相手国。また、天然ガスの55%はロシアに依存している。どれだけ強がろうが制裁は痛手だろう。

「ただ、領土を蚕食されてきた歴史があるトルコの反露感情は根深い。シリア政策でも対立するロシアへ簡単には膝を屈しないのでは」

 とは、現代イスラム研究センターの宮田律氏。

「しかも、ロシアの方が苦しい事情もある」

 あるロシア研究家も言う。

「経済制裁で食糧問題が深刻なロシアでは、実はトルコ産の野菜が20%弱、果物も15%近くを占める。ここを止めたらさらなる食糧不足、価格高騰を招きかねません。加えて最大の収入源である原油についても4日、OPECが減産見送りを決めたため原油安が続く。その出血に焦(じ)れて武力行使に出ようにも、トルコはNATO加盟国。第三次世界大戦になりかねません」

 自分が沸かした煮え湯を自分で浴びませんように。