“硫黄”が濃すぎてホテルのテレビが1年もたない!(群馬県) 全国「濃すぎる温泉」体験記(4)

旅・街歩き週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載

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 選りすぐりの「濃すぎる温泉」の効能はいかに――。ガタがきている記者のカラダで、北から南までを訪れる旅である。今回は、お馴染みのあのニオイが満ちる温泉を目指した。

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万座ホテル聚楽(群馬県)

 群馬県の、万座・鹿沢口へ。そこからワゴン車で、標高1800メートルの万座温泉へ向かった。車中で、万座ホテル聚楽の総支配人、小野清人さん(57)が説明してくれた。

「万座温泉は硫黄濃度の高さが、全国2位の新潟県月岡温泉に大差をつけて1位です。その中でも聚楽の温泉“法性の湯”は1キロ当たり300ミリグラムと一番濃度が高い。硫黄の効能は高血圧、糖尿病、美肌など。保湿力があり、血流がよくなります。源泉は50度です」

 だが、効能が高いと、別の効果も発揮するようで、

「電化製品が壊れやすく、テレビは1年ももちません。冷蔵庫も2、3年に一度は新調しなければならず、こうした経費は痛手です」

 ホテルに着き、久々にこってりした食事を味わった後、大浴場の暖簾をくぐると、強烈な硫黄の臭い。まず内湯に浸かる。お湯は適度に薄めたカルピスのような乳白色でやわらかい。3つの換気扇で硫黄がこもらないようにしているという。湯口から注がれるお湯は透明だが、浴槽の中で酸化してカルピスになるらしい。

 身体が温まったところで、檜造りの露天風呂へ。空を見上げて驚いた。大小のダイヤモンドをぶちまけたような満天の星。それを、硫黄濃度日本一の湯に浸かりながら眺めるとはぜいたくだ。風呂から上がり、タオルでふいた後も、自分の臭いが硫黄臭かった。

 翌朝、露天風呂からの景色に驚いた。手前に熊笹が茂り、その向こうにところどころ岩肌が露わな小高い山の起伏がどこまでも続く。頭の中をR・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』が流れた。人類の誕生という大袈裟な連想をしてしまったのだが、お湯で顔を洗うと、腐った卵をなすりつけたような臭いで、現実に戻った。

■万座ホテル聚楽(群馬県吾妻郡嬬恋村)
 1泊2食付10000円~ 日帰り入浴1000円
(電話)0279-97-3535

「特集 2分以上は浸かれない? 全国『濃すぎる温泉』体験記」より