世界一の炭酸カルシウム含有量97・5%!(北海道) 全国「濃すぎる温泉」体験記(2)

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 だんだん温泉が恋しくなるこの季節、ガタがきている記者のカラダで、全国の「濃すぎる温泉」を試す旅。今回は、炭酸カルシウムが“濃すぎる”温泉を訪れた。

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二股らぢうむ温泉(北海道)

 北海道南部の長万部(おしゃまんべ)町へ。携帯電話も通じない林の中に二股らぢうむ温泉はあった。ただし、同名の宿が1軒あるだけだ。

 浴衣に着替えて階段をかなり下った。途中、「シャンプー、石鹸等の使用一切禁止」などの注意書きが貼られている。脱衣所を経てさらに下ると、深さや温度が異なる4つの浴槽が、隣接して温水プールと露天風呂があった。温水プールには山田紘一郎オーナー(75)が入浴していた。

「この温泉は炭酸カルシウムのほか、微量のラジウムを含んでいる。硫黄分を含まず、かけ流しで十分な湯量を保っているのも特徴です。ラジウムは放射能だから危険だというのは誤解で、血液や細胞の働きを活発化して新陳代謝を促進し、老廃物を体外に排出するなど、その“ホルミシス効果”は世界中で研究されています。また、95・75%と世界最大含有量の炭酸カルシウムは、水溶性なので肌から体内に浸透する。カルシウムは皮膚の新陳代謝も促進するんです。戦時中は陸軍の保養所に使われていました」

 黄土色の湯は、鍋奉行の記者がつい掬いたくなる湯の花だらけ。床はカルシウムなどが固まって岩のようだ。38度のプールは心地良いが、43・5度の立湯は熱くてしんどい。そこで夜の露天風呂へ。2、3人のオジサンに混じって若いカップルもいたが、お湯が濁っているから、裸を見られる気遣いはなさそうだ。

 部屋にもどる途中、廊下に貼られた「腰痛がみるみるよくなった」「慢性扁桃腺炎が消えました」等々、客からの報告が目に入る。

 翌朝、再び露天風呂に行き、景色に息を呑んだ。右手には温泉成分でツルツルになったと思しき岩肌が突き出し、下方は崖。湯船の隣には湯の成分が固まってできた黄土色の池。方々に湯気が立ち、さながらジュール・ヴェルヌが描く「地底の世界」である。お湯から上がって体をふくと、タオルが黄ばんだ。

■二股らぢうむ温泉(北海道山越郡長万部町)
 1泊2食付8240円 日帰り入浴1030円
(電話)0137-72-4383

「特集 2分以上は浸かれない? 全国『濃すぎる温泉』体験記」より

週刊新潮 2015年11月26日雪待月増大号掲載