[仏テロ] 最初にシリアに入るフランス「外人傭兵部隊」の実力

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「フランスは戦争状態にある」――オランド大統領はそう宣言したが、無論、陸上部隊の派遣も選択肢の1つとしては存在する。その際、真っ先にシリアの地を踏むのは、精強なことで知られる「外人傭兵部隊」だ。

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「フランスの外人部隊には世界130カ国以上の人が在籍していて、現在の構成員数は8000人弱と言われています」

 そう語るのは、軍事ジャーナリストの世良光弘氏。

「対象年齢は、18歳以上40歳未満。20年間務めると、外国籍のままフランスの軍人年金を受けられるようになります。また、戦闘で再起不能になってしまった場合には、フランス国籍が与えられる場合もある。過去、この外人部隊には複数の日本人が在籍していたことがあり、今現在もいると思います」

 ちなみに入隊の際に宗教は問われないので、

「イスラム教徒も入隊できます。イスラム国の戦闘員でも身分を隠して入れるのかという質問には、入れる可能性はある、としか言えません」(同)

 そんなフランス外人部隊の中でも「エリート集団」と言われているのが、第2外人落下傘連隊だという。

「空挺を主体とした部隊で、フランス南部のコルシカ島などに駐屯しています。彼らは24時間、世界中のどこへでも出撃できるように準備しており、もしもシリアでの地上戦に外人部隊が派遣されることになれば、第2外人落下傘連隊が最初に派遣される可能性が高いと思います。2001年にNATOがアフガニスタンに軍隊を派遣した際、フランスからはこの部隊がまず現地に入りました」(同)

■「捨て駒」

 軍事ジャーナリストの潮匡人氏もこう語る。

「フランスが陸上部隊を投入するなら、特殊作戦を行う一部隊の派遣となるのが現実的。その場合、正規軍の第1海兵歩兵落下傘連隊か外人部隊の第2外人落下傘連隊のどちらかから選ばれた精鋭の特殊部隊が作戦実行にあたるでしょう」

 第2外人落下傘連隊の中にあるパラシュート・コマンド部隊(通称GCP)はフランス軍最強の特殊部隊と言われている。

「ただでさえ精鋭が揃う落下傘連隊から選ばれた特殊部隊は、一人一人がその能力において非常に優秀です。全てのメンバーが簡単な外科手術を行うことが出来、通信機器や武器の扱いに長け、射撃技術の高い人間のみが選ばれます」

 と、潮氏が続ける。

「しかもその部隊は外人によって構成されている捨て駒ですから、危険地帯にも送り込みやすい。また、シリアに部隊を投入するのであれば、シリアや中東出身の戦闘員を選んで派遣する可能性もある。そのほうが現地の言葉を使え、容易に地元民の中に紛れ込ませられますからね」

 ちなみに現在、第2外人落下傘連隊はアフリカのマリで作戦を展開している。

「うっすら見えてきた『地下組織』の衝撃 『イスラム国』大規模テロの不穏な幕間」より

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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