慰安婦問題で大学教授を起訴! 韓国に無敵の怪物「国民情緒法」

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 隣の芝生は青く見えると言うが、海を隔てた「お隣さん」の芝生は全くもって青く映らない。 2年前に慰安婦の強制連行を否定する記述などがある著作を出版した韓国の朴裕河(パクユハ)・世宗大教授(58)が、11月18日、元慰安婦に対する名誉毀損の罪にあたるとして、検察によって起訴されたのである。

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 あくまで韓国内ではという話だが、慰安婦にとって少しでも「不利」な言論は異論扱いされるようだ。しかし、異論を唱えただけで訴追されるとは、ジョージ・オーウェルの『1984』も真っ青の強権国家と言うしかあるまい。実際、今回の朴教授起訴を受けて、あの朝日新聞までが、

〈異論の封殺は、自由に対する挑戦である〉(11月21日付社説)

 と、韓国政府の対応を批判したほどだ。

 とまれ、慰安婦の強制連行を否定することがそもそも「異論」なのかという議論は敢えて措(お)くにしても、「気に入らない言論」を得意気に刑事罰で封じようという蛮行は、少なくとも「我が芝生」では考えられない。この韓国特有の文化は、

「『国民情緒法』という法概念の存在なしには語れません」

 こう解説するのは、韓国出身で拓殖大教授の呉善花氏だ。

「これは、明文化されていないにも拘(かかわ)らず、韓国の国民情緒に合致しさえすれば、実定法に関係なく裁きを下せるという、民主国家にあるまじき超法規的概念です。セウォル号の船長が死刑の求刑をされたり、ナッツ姫に懲役1年の実刑が下されたり、また産経新聞の加藤達也前ソウル支局長が起訴されたのも、こうした考えに基づいたもの。いずれも実定法よりも国民情緒、つまり『懲らしめてやれ』という大衆の感情が優先され、重い刑が下されたり、信じ難い起訴が行われるのです」

■「一言で言えば」

 実際、韓国メディアには、

〈国民情緒法に引っかかると、いかなる形態であれ罰を受ける〉(2005年8月12日付中央日報日本語版)などという記述が堂々と掲載されてきた。

 斯(か)く言う呉氏自身も、「日本を評価した本を書いている」という理不尽な理由で、過去に2度、韓国への入国を拒否されている。まさに国民情緒法の被害者なのだ。

「一言で言えば……」

 と、元時事通信ソウル特派員で、『悪韓論』(新潮新書)の著者である室谷克実氏が後を受ける。

「韓国という国は、法律家ですら法律を守らない国なんです。事実、今年4月の『法律の日』の式典に際して、日本の法務大臣にあたる法務部長官が、『法律家が率先して法律を守る姿勢を見せることが法治主義を確立するカギ』と述べています。奇しくもこの発言は、今の韓国では法治主義が機能していないことを裏付けています」

 こうした韓国の現状を受け、先の呉氏は、

「北朝鮮じゃあるまいし……」

 と、嘆く。

 隣の芝生から見えてくるのは、物言えば唇寒しの状況に「青ざめる」朴教授の顔色ばかりなのだった。

「ワイド特集 絶頂期の盲点」より

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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