ボージョレがなんの靖国に並んだ日本酒「276銘柄」

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 新嘗祭(にいなめさい)を標的にした爆発事件で騒然となった東京・九段の靖国神社だが、どっこいこの季節ならではの宴は、予定どおり催されている。

 11月28日までの5日間、神社本殿へと続く参道が舞台となるのは「黄葉見(こよみ)SAKE2015」。ライトアップされて一層艶やかに色づく銀杏の並木を見ながら、全国47都道府県の地酒を利き酒できるイベントだ。共催者である一般社団法人・千代田区観光協会の広報担当者が言う。

ライトアップは日没から

「昨年に続いての試みですが、担当者が北海道から沖縄に散らばる蔵元に、手紙を書くなどしてお願いした結果、今年は飲み比べイベントでは国内最多の276銘柄を揃えることができました。一人2000円でぐい呑み5杯分をご賞味できます」

 酒どころとして名高い東北や新潟の銘酒の他に、今や世界ブランドとなった山口県の「獺祭(だっさい)」も顔を出す。

「そば焼酎で有名な雲海酒造さんが作っている『初御代(はつみよ)』や、泡盛を製造する沖縄の泰石(たいこく)酒造さんの『黎明』など、東京ではなかなか味わえない逸品もございます」

 先日解禁となったボージョレ・ヌーボーもなんの、日本酒も負けてはいない。

「日本酒の出荷量は1973年度の約177万キロリットルを境に減少が続き、5年前にはピーク時の3分の1まで落ち込みました。ところが、海外での和食ブームや若い蔵元さんが提案するスパークリングタイプの新酒がウケて、4年前から消費量は微増に転じ、復調の兆しを見せています」(経済誌記者)

 更に! 会場では各地の酒の肴も勢揃いなのだ。

「石巻のホタテ焼きや福島のウニ貝焼き、山形の鮎の塩焼き、福井のへしこなど、郷土の滋味を通じて、秋の日本を感じて頂くことができます」(先の協会広報)

 何かと“政(まつりごと)”と絡められて目の敵となる靖国神社だが、本来は先人が築いた恵みに感謝を捧げ、“祭り事”を楽しむ場でもあるのだ。

週刊新潮 2015年12月3日号掲載

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