元朝日記者「植村隆」が非常勤講師をクビになりそうな警備問題

国際 韓国・北朝鮮

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 人間、一世一代の大仕事をやり遂げても、充足感を得られるとは限らない。従軍慰安婦の存在を世に知らしめた元朝日新聞記者の植村隆氏(57)も、大仕事の立役者であったことが祟って、北海道の大学の非常勤講師の座を追われそうだというが、直接の理由は「警備問題」だそうで。

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高コスト教員

 くだんの北星学園大学では、植村氏が非常勤講師として、学生に従軍慰安婦について教えているのではないか、と推測するムキもあったが、実際には、

「国際交流特別講義を毎週木曜に2コマ持ち、韓国や中国からの10名前後の留学生に、朝日新聞を題材にした社会勉強のほか、ゲストを招いてそば打ちなどの体験もさせています」

 と同大関係者。言ってみれば人畜無害だが、当の大学にとっては、そうはいかなかった。職員のひとりは、

「昨年1月末、『週刊文春』に『“慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に』という記事が掲載されました。それを受けて、神戸の女子大は植村さんとの雇用契約を解消しましたが、お鉢はうちに回ってきました。ネットを中心に“植村を辞めさせろ”という声が上がり、大学にも抗議の電話が毎日何十件もかかるようになったのです」

 とこぼして、続ける。

「去年の春先はビラが配られたり、街宣車が来たりしたので、通学時間に沿道に見回りの警備員を配置した。入試や卒業式、学園祭のときもそうでした。通常の何十倍という警備員が必要で、何倍も経費がかかり、防犯カメラの取りつけにもお金がかかった。また、警察に対応する部門や、植村さんに関する問い合わせに応じる部署を設けましたが、本来は大学の仕事をすべき人員が割かれているのです」

 そして、締めくくった。

「そこまでの費用をかけて植村さんの雇用を継続することに違和感を持つのは、ごく普通のことだと思う」

■警備費用3000万円

 ところで、植村氏が書いて、今なお問題とされているのは、1991年8月11日付「元朝鮮人従軍慰安婦/戦後半世紀重い口を開く」という記事だった。

 それはともかく、実は大学は、昨年10月にいったん、植村氏の雇用を打ち切る方針を示したのだが、

「脅迫状や抗議の手紙に対し、全国の弁護士有志380人が札幌地検に集団刑事告発し、“学問の自由が脅かされている”と主張したのを機に、大学は一転、植村氏の雇用継続を決めたんです」(先の関係者)

 だが、ここにきて学内から「もう疲れた」「もう十分だ」という声が漏れ聞こえると同時に、大学が「植村氏の雇用打ち切りを決めた模様だ」という声が聞こえはじめたのである。実際、月給5万円の非常勤講師を守るために、コストがかかりすぎではないか。田村信一学長に質してみると、

「まだ結論が出ていません。抗議は収まりつつありますが、ピーク時は月に700件ほどあり、職員が仕事をできず、外部の人を頼んで電話応対するようになった。今も原則、同じ態勢です。ええ、防犯カメラを設置したり、警備員を増やしたりで、2015年度の警備費用が3000万円程度に膨らんだのは事実です」

 苦渋の表情でそう語りながら、こう結んだ。

「大学の人事を決めるのはあくまでも大学。その理念を失うと、大学は単なる下請け機関になってしまう」

 大学の法人課に聞くと、

「植村氏の来年度の雇用の可否は、今月中には決定される見込み」

 という。本人も脅迫に苦しめられただろうが、植村氏が在籍することで苦しめられている大学関係者も、多数におよぶのである。

「ワイド特集 残念なお知らせがあります!」

週刊新潮 2015年11月19日号掲載

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