最高益で“初の年間王座”が見えてきた「伊藤忠」

企業・業界週刊新潮 2015年11月19日号掲載

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 早起きは三文の得。5年前、伊藤忠商事の社長に就任した岡藤正広氏(65)は、社員に“朝型業務”を推奨して業務の効率化を図った。結果、莫大な利益を会社にもたらし、初の業界トップの“栄誉”まで見えてきたのだ。果たして、落とし穴はないのか。

 大手商社の2015年度中間決算が出揃った。注目すべきは、最終利益の予想額だ。“王者”三菱商事は1549億円で、三井物産は1306億円。そして伊藤忠商事が2127億円で、過去最高益を更新した。

「これで三菱商事は、来年3月期決算で16年ぶりに陥落し、伊藤忠商事に首位の座を明け渡す公算が高くなりました」

 こう語るのは、経済誌の商社担当記者だ。

「三菱商事と三井物産は、対前年比で減益でした。その理由は、資源価格の下落。一方の伊藤忠は、他より早く採算の見込めない資源開発から撤退を始めたことで傷が浅かったのです」

 加えて、伊藤忠は機械や食料などの非資源部門では商社ナンバー1という強みもある。

「出資先のファミリーマートも業績が堅調に推移しているので、来期も伊藤忠がトップを維持する可能性は決して低くなく、業界地図が塗り替えられることになるでしょう」(同)

 今後も順風満帆に思えるが、商社担当のアナリストはこう指摘する。

「今年1月、伊藤忠はタイの華僑系企業チャロン・ポカパンと組んで、中国の国有企業集団“CITIC”に1兆2040億円の投資を決定しました。出資額は自己資本の4分の1に当たる大型融資。中国共産党に強力なパイプを持っていますが、“CITIC”に万が一のことがあれば、共倒れしてしまう危険を孕んでいます」

 来年の株主総会で岡藤氏は社長を退き、会長として陣頭指揮を執る予定だ。勝って兜の緒を締めよ。