恩師に抱いた初めての疑問/『湯川博士、原爆投下を知っていたのですか:“最後の弟子”森一久の被爆と原子力人生』

IT・科学 2015年10月号掲載

「森一久」という名前を聞いてピンとくる人は果たしてどれほどいるだろうか。氏は、政財官界にわたる広範な人脈を持ち“原子力村のドン”と呼ばれた人物。本書は、黒衣に徹しつつも黎明期から一貫して日本の原子力業界を見据えてきた森氏の生涯を描くドキュメンタリーである。広島出身の氏は一九四四年に京大理学部に入学し、湯川秀樹博士に師事することになる。入学の翌年、偶々帰郷していた折に被爆、両親など五人の親族を失う。母を探し求めて(結局、見つけることはできなかった)爆心地をさまよい歩いた結果、原爆症で瀕死の状態に陥るが奇跡的に恢復。

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